環境触媒化学特論I(第9回/2022年6月16日)感想/質問/回答《18人出席・35人メール送信》
「光触媒がわかれば化学がわかる・化学がわかれば光触媒がわかる」と大胆なテーマでやる環境触媒化学特論I(おそらく環境物質科学専攻開講講義のうちで「化学」がはいっている2つのうちの1つ(もうひとつは「環境触媒化学特論II」))の最終年度の講義を受講していただきありがとうございました.光触媒だけではなく,化学の根幹である熱力学と速度論(動力学)のエッセンスをすこしでも伝えられたかなと思っています.おおくの受講生にとって「キラーカード」ということばが印象にのこったようです.「研究とはじぶんの主張に対するキラーカードをつぶすこと」というのはある意味で真理です.なお,「キラーカード」というのはわたしの造語で,論理学では「反証(contrary (counter) evidance)」であることをおわすれなく.では,みなさんがいい修士論文を完成されることを祈っています.
《K》 光触媒反応の原理や特徴についてはだいぶわかってきましたが,実際の反応が光触媒反応であることを証明することはそう簡単なことではないのだと思いました.必要条件となるブランクテストをクリアしても別の反応である可能性を否定できないので,それが証明に直接つながるわけでないことを理解できました.(そのとおり...ですが,べつに光触媒反応にかぎったことではありません.自然科学ではみなおなじです)
《かなこ》 酸化チタンへのドーピングにより吸収スペクトルが異なり,可視光の吸収も可能になることを知りました.(いやいや...可視光の吸収があるだけじゃだめです)
《NT-D》 今日は酸化チタンがUVだけを吸収することを初めて知りました.(ひょえ....なんと.もうなんども話したけどなぁ)
《Sean》 In today's lecture, I learned contents about reaction kinetics of photocatalytic reactions, the necessary requirements for proving the existence of photocatalytic reaction, and methods and equipments that can be used in test for photocatalytic reactions.(That's right, and can you use those in your work?)
《唐澤 貴洋》 Today I learned the linearization method of photocatalyst reaction speed by drawing the 1/r-1/C curve, and knew the two situations of linearization circunstances: Langmuir-Hinshelwood mechanism and Eley-Rideal mechanism. Calculating the photocatalytic activity r= IΦkehSKC/kr(1+KC), learned the relationship of PC, light, solid and substrate, and the measurement of action spectrum.(In the ordinary sense, the term "speed" is not used for reaction and "rate" is preferable.) ▼My question is about giving the colors to Titanium catalysts, what is the mechanism of adding colors to catalysts? ▲Titanium(IV) oxide, not "titanium". Essensital strategy of making non visible-light absorbing material colored is narrowering the energy gap, e.g., bandgap between conduction band and velence band.
《Sihao》 By today's class, I knew how to understand the meaning of the action spectrum. I also learned about the construction of the instrument that measures it, I learned a lot, thanks.(I recommend you to make it possible how do you measure something in your work.) ▼What qualities do you think are important in women? I'm not able to answer this question now. I will continue to think about it. ▲My recommendation, although your question is COMPLETELY out of scope of this lecture, is not considering "qualitiy" of people, not limited to women.
《きゅうり》 光触媒の必要条件は「どんな波長の光で反応するのかを明らかにすること」,「光触媒自体は変化しないこと」(「どんな」じゃなくて,「光触媒が吸収する波長の光で反応する」です)
《けろっぴ》 光触媒反応について,2つの必要条件での説明がわかりやすかったです.(説明というか...なんというか)
《Alarm Clock》 Today we learned the principles and characteristics of many photocatalytic reactions, and learned that the absorption spectrum is different due to the doping of titanium oxide. I also learned about the use and principles of many photocatalytic related instruments, the reaction kinetics of photocatalytic reactions, and the necessary conditions for proving the existence of photocatalytic reactions.(It might be a little out of focusing point of the lecture.)
《悟空》 Learned two necessary conditions for photocatalyst reaction . It is a difficult but meaningful direction to study to improve the absorption of visible light by titanium dioxide .(That's right!)
《New bee》 I learnt photocatalytic activity is a commonly investigated function of semiconductor nanoparticles. That remind me that I've read some research about photocatalytic activity of titanium Dioxide before. They said the photocatalytic activity of TiO2 will increase if the photocatalytic activity is performed under alkaline conditions, otherwise it will decrease if done under acidic conditions.(Do not capltalize name of compound in a sensence.)
《ゼペリン点眼液》 私は今実験でNi/Pt/CdS/FTOという光応答型電極を用いているのでですが,単に光を当てて活性電流が流れたと喜んでいた自分に今日の講義を聞かせてあげたいです.(【本文1行めはSubjectとおなじものです】ぜひ,聞かせてやってください)
《パスカルくん》 大変興味深いお話でした.(【講義コードは「pc20220616」です】...といいますと)
《流し満貫》 光触媒の必要条件がわかりました.(いやいや,それを満足しているかどうかを確認すればどうすればよいか,という話です)
《りん》 メチレンブルーが光を吸収して発光することに驚きました.(そんなこと言ってないって,「発光するなんて」) ▼他の物質でもこう言う[ママ]ことはありますか. ▲光を吸収して発光するのは蛍光で,蛍光物質はたくさんありますよ.
《Sさん》 光触媒反応はなかなか理解するのが難しいですが,面白いですね.(さよかーー.で,それは「Sさん」の修士論文の研究でつかえますか)
《黒猫ヤマト》 光触媒反応は反応速度においても触媒反応と大きく違うことを学んだ.光触媒の活性(keh/kr)を実際に求めるのは難しいと知った.授業内容とは関係ないが,今まで疑問形の論文の題名をあまり見たことが無かったので,衝撃をうけた.一気に目を引く題名を付けられれば,その分多くの目にとまるのだと感じた.(そのとおりだけど,疑問符のついたタイトルをつけられる研究ってのはどんなものかをかんがえてみるもいいかと.ちなみに,これまで10本の論文/解説のタイトルが疑問文でした)
《ぶぁーふぁ》 確認しなければいけない条件がある,というところで「触媒自体が変化しないこと」とありました.が,これが1番大事なことだと思います.私も,金属イオン交換ゼオライト触媒を使ってN2O分解の実験を行っていますが,N2Oが分解されているように見えても,イオン交換されてないそのままのゼオライトでも実はN2Oを分解できる可能性もあるのではと考えています.1番根底にある材料を疑ってみようと思います.(「触媒」じゃなくて,「光触媒」です.はい,研究とは「かんがえられるキラーカードをぜんぶつぶす」ということです)
《Aditya》 Today, I learned many new things and theories. So, I need to read more detail about what I have just learned.(Please do so and use in your work.)
《コリ栗の島8.0》 Thanks for today's lecture. The necessary conditions for photocatalytic reactions, which are in a sense the limiting conditions for photocatalytic applications, are the specific absorbance of the photocatalyst, and the wavelength intensity of the light source.(【The lecture code is "pc20220616".】What is "wavelength intensity"? Is it "wavelength dependence"?)
《Kenny》 Today I learned the necessary conditions for photocatalysis and action spectrum analysis for photocatalytic reaction.(Yes that's right.) ▼So, what is the biggest influencing factor for a photocatalysis system? ▲It must depending on the system and conditions, as I have told a part.
《chocolate》 実際の例を通して,新しい理論を組み立てる際のロジックについて考えることができました.(そうなんです.論理がなければ仮説はでてきません)
《瓜》 メチレンブルーが酸化チタン,硫黄ドープチタンに触媒されて分解し,脱色することが吸収スペクトルの図から理解できた.(「硫黄ドープチタン」じゃなくて「硫黄ドープ酸化チタン」,「に触媒されて」じゃなくて「の光触媒反応により」です)
《9人っ子政策》 ER機構の反応はほぼ起こらないのですね.講義の言語が基本的に英語になってきている気がします..(はい,すくなくともわたしは「これはER機構以外をかんがえることがむずかしい」という例をみたことがありません)
《mochi》 吸着量の考え方が徐々に身についているのを感じた.しかし,吸収波長の測定や量子収率の計算などについてこれから学ぶだろうことを考えると,光触媒のが複雑で化学反応の様々な要素を持っており,完全に理解するまでまだまだ時間がかかりそうだと感じた.(でも,まぁその解析の「みちすじ」はそれほど複雑ではありません)
《ねぎ》 反応はうまくいっていても光触媒の条件を満たしているかどうかを証明することが大事で,これは自分の研究でも気をつけなければいけないと思った.(はい,そのとおり.この講義は,受講者のみなさんの研究のためにやってます...ほかの講義もおなじだけど)
《ちょ》 実験で得られた反応が想定した反応だと証明することが大事というか,それが研究の多くを占めるのかと思いました.(いやいや証明はできません.想定したものではないことをしめす「キラーカード」をつぶすことが研究です)
《こ》 Keh/Kr を分離することが出来ないというのが不思議に感じた.光触媒に関するロジックの説明が難しかった.(並行反応では,実験結果(速度)からそれぞれの速度定数をもとめることはできません.これは式のかたちをみれば理解できます)
《マクフライ》 1/r〜を使うかそれにCをかけた式を使うかは,場合によって誤差が少ないように使い分けなければならないと分かりました.(いやいや,直線化にはいろいろあるというはなしのひとつの例として言っただけです)
《Red》 I think it is important to distinguish whether a catalytic reaction proceeds via a Langmuir-Hinshelwood or Eley-Rideal mechanism for the kinetic description.(That's true, but not a focusing point.)
《Xishan》 数式などの理論だけではなく,実際の研究の紹介も含めて解説があるので面白かったです.実習でメチレンブルーの光分解反応の追跡をした時,数分でできたので今は実験時間が昔に比べて短縮されていると感じた.(それはね...光触媒反応じゃなくて色素増感反応がおこってるんです)

《亮平》 今回も光触媒につぃて専門的に学ぶことが出来て良かったです.(とはいうけど,ほとんど質問についてこたえてないよね.減点です)
《ヌメロン》 光触媒活性を調査する際に,吸着速度から判断するわけだが,速度を求めるのに必要な表面積等の条件が優れているからといって,活性が良いとは言えない…なるほど(吸着速度なんか測らない,いや測れないけどね)
《札幌少年》 光触媒の勉強を通じて,私自身の研究にも助かります.以前はどのように電子が流れているのか,光に関する水の分解能力の由来とか分からないですが,今は大体了解しました.ありがとう.(【本文1行めと2行めが逆です】どういたしまして)
《ランディ・ジョンソン》 「キラーカード」ってなんかっこいいですね(はい,そのとおりですが,わたしの造語です.論理学でつかわれるのは,「contrary evidence(反証)」です)