環境触媒化学特論I(第10回/2022年6月23日)感想/質問/回答《17人出席・36人メール送信》
「光触媒がわかれば化学がわかる・化学がわかれば光触媒がわかる」と大胆なテーマでやる環境触媒化学特論I(おそらく環境物質科学専攻開講講義のうちで「化学」がはいっている2つのうちの1つ(もうひとつは「環境触媒化学特論II」))の最終年度の講義を受講していただきありがとうございました.光触媒だけではなく,化学の根幹である熱力学と速度論(動力学)のエッセンスをすこしでも伝えられたかなと思っています.おおくの受講生にとって「キラーカード」ということばが印象にのこったようです.「研究とはじぶんの主張に対するキラーカードをつぶすこと」というのはある意味で真理です.なお,「キラーカード」というのはわたしの造語で,論理学では「反証(contrary (counter) evidance)」であることをおわすれなく.では,みなさんがいい修士論文を完成されることを祈っています.
《K》 今日の講義では,単に知識的な内容だけでなくどうやって研究を進めていったのかという内容も多く,とても面白かったです.自分の研究を進めていくための考え方としても役立てられるように感じました.(【学生番号まちがってます】はい,どうぞ.ぜひそうしてください)
《Alarm Clock》 Today's lecture is very rich in content, not only the imparting of knowledge but also the introduction of how to conduct research and methods. It's interesting.(Yes, but if you think so, please do so in your reseach.)
《10人っ子政策》 TiO2は,ルチル相とアナタース相がありそれぞれ結晶相の違いによる反応への影響がわかった.(そりゃそうやろ,ちがう結晶でも反応に対してはおなじようにふるまうなら,反応が「TiO2」という組成「だけ」できまってることになってしまいます.ギ酸メチルと酢酸(どちらも組成は「C2H4O2」)がおなじ反応性であるはずがないじゃないですか)
《ヌメロン》 統計から光触媒の特性を確認したのは驚いた.解析どうやったんですかね・・・(いやだから「線形化による多変量解析」っていったじゃないですか.クリックひとつでExcelがやってくれます)
《NT-D》 P25の実験について,ルチルを混ぜた方が効能が増すのがすごいと思いました.(まったく逆です.アナタースとルチルをまぜても,それぞれ単独よりよくはなりません)
《れい》 titaniumalcoxideとtitaniumsulfideが高温で反応が起こらなくなる理由の話がわかりませんでした.(2種類の原料の加水分解で酸化チタンを調製し,焼成温度をあげていくと活性はあがっていきますが,アナタースがルチルに結晶転移するところで急激に活性がさがります.これは,(1)比表面積の低下と(2)ルチルへの転移の2つの可能性がありますが,実験によってそれを区別する方法はありません...ってはなしました) ▼アナターゼがルチルより活性が高いのはなぜですか. ▲それは...講義で説明ずみです.YouTube動画をみてください.
《Sean》 In today's lecture, I learned more about the statistical analysis of action spectrum, and the complexity is unexpected. And even though I answered the question by checking the answer after the first question, I still don't really understand why the apparent quantum efficiency shifts to the right when the quantum efficiency changes with wavelengt(There is no relation between statistical analysis and action-spectrum analysis. The shift of action spectrum from the corresponding absorption spectrum is due to not constant (true) quantum efficiency.)
《ステンレスペダルペール》 いくらキラーカードを潰したとしても絶対に正しいとは証明できない.研究とはキラーカードを探し,潰していくこと…なのかもしれない.(いや,だから,そう言いましたって)
《マクフライ》 ブランクテストにおいて,必要条件と十分条件は明確に認識して行わなければならないと思いました.(いやいや,自然科学では,十分条件はありません.必要条件だけ)
《昴日星官》 The content of today's lecture is very good, learning the properties of mixed rutile. Besides, the research methods and concepts are very helpful for my future study life.(That sounds good!) ▼I wonder if you will give up and admit that the problem is unsolvable when you have tried many ways to solve a research problem or will you continue to explore. ▲I will try to find the way to make it possible. No other way.
《Xishan》 研究はキラーカードを見つけて潰していくというのが印象に残りました.(いやいや,それを実践してください,修士論文の研究で) ▼アナタースだけ残す方法を模索しているときに,試薬として過酸化水素とアンモニアを選択することができたのはなぜですか. ▲それが...わからないんです.博士課程から研究室にやってきた大学院生が,修士課程の研究室でやったことがある...というのでやってもらったという経緯です.
《ぶぁーふぁ》 アナタースもルチルも別の物質なのに同じように反応してて違いがないことに驚いた.作用スペクトルだけでしかわからない,一つの方法でしか区別できないということがあることがわかった.(せやろ)
《Kenny》 This lesson, I know action spectroscopy is the only powerful tool to reveal the state-dependent activity of various catalysts. In photocatalysis, when there are substances in the measurement object that absorb different wavelengths of light, it will be more difficult to measure more accurate values.([English sentense MUST be start with a CAPITALIZED letter.] What I told is "photocatalysis" but not "catalysis", using photocatalysts, but not "catalysts".)
《唐澤 貴洋》 Today I learned many differences between Titanium photocatalysts made of anatise and rutile. Also I had a broad knowledge about P25 and P-25.(Name of compounds cannot be capitalized except for proper nouns lile commercial code name. There is no difference in "P25" and "P-25".)
《Aditya》 Today I learned about the relationship between different properties can change photocatalytic activities, even though I still need to read again.(You should do so.)
《tongnot》 今回も逆裏対偶が出てきて嬉しかったです.(なんでうれしいのか...「逆裏対偶」ってことばを知ってるからですか)
《黒猫ヤマト》 アナタ―スとルチルを混ぜた時にどちらかしか反応しない場合があること,内部フィルター効果により吸収波長が短波長シフトする話を聞いて「そんな感じになるのか!」と驚いた.大谷研究室の研究成果が沢山出てきたことで,普段は講義→研究という活かされ方が多いが,研究→講義という本来の学問の流れを強く感じ,研究のモチベーションがさらに上がった.(いやいや,研究の本質はこれまで話してきた基礎があったのことです) ▼BET係数が正の時,PPS係数は負になる傾向が強いですが,cの反応ではどちらの係数も負でした.これは何か原因とかあるのでしょうか ▲はい,そのとおり.球状の単一サイズの粒子からなると仮定すると,酸化チタンでは,粒径r(nm)と比表面積S(m2 g−1)の積(rS)が1240になります.ただ,一次粒子径は,多数の粒子が融着した凝集粒子の場合でも,そのなかの1つの結晶子だけをしめしていますから,一次粒子径(PPS)がおなじでも比表面積がおなじになるとはかぎりません.
《Sihao》 Thank you very much for today's class, with the data graph as an example, it makes it easier for me to understand.(I hope you not to think that you understand all only by seeing graphs.) ▼What qualities do a good doctor need to have? ▲One of the requisites is to think again and again whether what you think is correct or not.
《みんなで行こう宝塚記念》 キラーカードを潰していく作業は途方もなく年月のかかるものであり,私は偉大なる研究者方に頭が上がりません.(じつは...「キラーカード」はわたしの造語です.論理学では,「contrary evidence(反証)」といいますが,ちょっとインパクトがないので...で,頭があがらなければ,ずっと下げていればよろしい)
《コリ栗の島8.0》 Thanks for today's lecture. Through the examples of rutile and anatase, I learned that the difference in crystal structure has an effect on the photocatalytic activity.(I think you should think different materials MUST show difference behavior including photocatalytic activity.)
《Sさん》 これからの研究活動において,キラーカードを探して,潰していくことを誓います.(それができているかどうかは,論文を投稿したときの審査員のコメントや学会発表したときの質問が予想どおりかどうかでわかります)
《の》 出来ていることの100%の証明はできないのでキラーカードをつぶしていくという話は,自分の研究を行う上で気を付けたいなと思った.たくさんのデータを取ろうと思った.(たくさんデータをとる=キラーカードをつぶす,ではありませんよ)
《おかか》 研究をどのように進めていたかという話が聞けてよかったです.(でもそのためには,前回以前にはなした「基礎」が必要です)
《violet》 化学反応を扱う上で,必要に応じて相や相転移という観点からも考えるべきであると感じました.(それは...ある意味当然ですし,みんなやってます)
《瓜》 作用スペクトルから混合系での寄与がどうなっているかなど非常に多くのデータが取れることが分かった.ルチル/アナターゼ混合系での相乗効果について説明された内容を,データを通して疑問視し,単一組成での実験から相乗効果でないことを立証する,といった一連の流れに感動しました.論文の内容を鵜呑みにしがちなので,おかしな点に気付ける目を養いたいと思います.(「感動」をおとどけできて幸いです)
《み》 光触媒の様々なグラフや図を見せていただきましたが,あまり理解できませんでした.(「見てる」っていうのでは理解するのはむずかしいでしょうね) ▼物事を理解するためにどのような心持ちで論文などを読むといいでしょうか. ▲たとえば,グラフだとしたら,それをつくるのにどんな実験と解析をするのかを,じぶんでやることを想像してみることがだいじです.
《かなこ》 二酸化チタンの光触媒反応は,統計的分析によりその反応の構成を調査すると,ルチル型とアナターゼ型の相乗効果は発生していないことが判明したということを理解した.(すくなくとも「P25」の場合はね.ほかはわかりません)
《亮平》 反応式,計算式,グラフなど理解しなければならないものがたくさん出てきてかなり難しかったです.(でもそれをはずしたら論文は読めないよ)
《ふー》 得られた実験結果がほんとうに正しいかの証明はできないのでキラーカードを潰していくしかないし,むしろキラーカードを潰していくことが研究だということは,去年までいた研究室での研究での教授の教えもまさにそうだった.(はい,ことばはちがっていても,研究者がやっていること,意識していることはおなじです.簡単にいえば,発表したときの質問とか,投稿論文に対する審査員の意見がどんなものかを想像することです)
《流し満貫》 キラーカードを潰すことを意識して研究を進めます(はい.でも,そのためには基礎が必要です)
《そーめん》 キラーカード見つけて潰していくことの重要さを今回の授業で再確認した.(はい,だけど,見つけるのも,つぶすのも一筋縄ではいきません)
《mochi》 結晶構造が吸収波長等に影響を与えるのは考えてみれば当然のことのように思えるが,具体的にどのような効果が現れているのか確かめることは非常に難しく,やはり研究は一人ではできず,多くの人に批評される必要があると感じた.(そんな気弱でどうする...まずはひとりでじっくりかんがえよ)
《New bee》 Thanks very much for lesson, that is really good, And I think it's normal to not get the results you want when you do an experiment, failure is part of the experiment or research.(If you think it a failure, it becomes a failure and is discarded. If you think it an unexpected result, it may help you.)
《Red》 In this lecture, I learned a lot about spectra of the photocatalytic reaction of anatase, rutile and their mixture, which let me really have a deep impression on their photocatalytic reactions.(That's my pleasure.)
《けろっぴ》 光吸収が多少の不純物でも大きく性能を変えてしまうことは,実際に作成,使用する場合に留意しなければならないと思いました.(...ってなんのはなしですか)

《札幌少年》 Action Spectroscopy is one of the important methods used to evaluate the state activity of catalysts. Another impressive point is that the accurate measurement of substances becomes very difficult with the spectral changes of substances in photocatalysis.(【The first line and second line in the mail body should be interexchanged.】The term is "action spectrum analysis", not "action spectroscopy". The term is "photocatalysts", but not "catalysts".)