環境触媒化学特論I(第11回/2022年6月30日)感想/質問/回答《15人出席・36人メール送信》
「光触媒がわかれば化学がわかる・化学がわかれば光触媒がわかる」と大胆なテーマでやる環境触媒化学特論I(おそらく環境物質科学専攻開講講義のうちで「化学」がはいっている2つのうちの1つ(もうひとつは「環境触媒化学特論II」))の最終年度の講義を受講していただきありがとうございました.光触媒だけではなく,化学の根幹である熱力学と速度論(動力学)のエッセンスをすこしでも伝えられたかなと思っています.おおくの受講生にとって「キラーカード」ということばが印象にのこったようです.「研究とはじぶんの主張に対するキラーカードをつぶすこと」というのはある意味で真理です.なお,「キラーカード」というのはわたしの造語で,論理学では「反証(contrary (counter) evidance)」であることをおわすれなく.では,みなさんがいい修士論文を完成されることを祈っています.
《K》 長波長だと光の吸収が減って真の量子効率も下がるのに見かけの量子効率は上がるというところが,単純にはいかず奥が深いと思いました.(いえいえ,真の料理効率(Φ)は一定と仮定しています.吸収量(ψ)が減少します)
《Sean》 In today's lecture, the shift of action spectrum part solved my problem last week and I learned more about action spectrum and its dependence on light intensity and wavelength.(Please do so.)
《ぶぁーふぁ》 触媒に乗せる[ママ]金属量(今回は白金でしたが)を乗せれば乗せるほど還元するのではなく,担持量が少なくてもビスマスタングステン触媒として機能するのが面白かった.(「載せる」です.担持量は多ければいいというわけではなくて,「最適量」が存在します)
《マクフライ》 光強度が上がっても酸素の到達速度が変わらないので,反応速度は1/2乗にしかならず,いずれ一定になると分かりました.(いえいえ,0.5次になるのはペルオキシラジカルによる連鎖反応によるもので,酸素の拡散によって0次,つまり光強度をかえても速度がかわらなくなります)
《Alarm Clock》 In today's class I learned something about the spectral part. At long wavelengths, the absorption of light decreases and the true quantum efficiency decreases, but the apparent quantum efficiency increases. It's interesting.(True quantum efficiiency is assumed to be constant.)
《11人っ子政策》 量子効率については聞いたことがなかった.短い波長の方が強い力で反応させた方が良いと思っていたが弱い力の方が効率がいいという話を聞いて最初は驚いたが,話を聞くと納得できた.(これまでなんども量子効率を説明してきましたよ...そして,光に「力」はありません)
《ダンボール捨てたい》 長波長では光の吸収が減って吸収量が減少する.見かけの量子効率が上がる.(その2つがどのようにむすびつくか...ってのが講義の内容です)
《Sihao》 Interestingly, the more metal was put on the catalyst, the less it was reduced. And for long wavelengths, the light adsorption decreases and the true quantum efficiency decreases, but the apparent quantum efficiency increases. very funny.(Not "catalyst", but "a photocatalyst". It was assumed that the true quantum efficiency is constant.) ▼When was the happiest time in your life? ▲Of course, when I made someone feel touche.
《唐澤 貴洋》 Today I saw spectrums of different titanium catalysts. They can change the WCA of the substrate surface and thus changing the reaction mechanism of surface chemical reactions. And the most important point may be the model of the light-intensity dependent apparent quantum efficiency(linear model and square root model) and its mechanism on catalysts.(The plural of "spectrum" is "spectra" and what I told is "photocatalyst" not "catalyst".)
《哮天犬》 Recently I have been doing experiments on absorption and emission spectroscopy. The teacher's lecture solved some of my original doubts . The true quantum efficiency is assumed to be constant. Absorption amount decreases.(That's right and then what will you do.)
《の》 ビスマスタングステンのシフトが短波長にシフトしているのが不思議だった.(タングステン酸ビスマス(bismuth tungstate)です.真の量子効率が長波長側の方がたかければ作用スペクトルは長波長側へシフトするということは,短波長側の方がたかければ短波長側にシフトするのは「ぜんぜん」不思議ではありません)
《ヌメロン》 高い温度上げるとコンタクトアングルが上がるのは,シンタリングは関係ないのでしょうか.(これは「コメント」かなぁ) ▼高い温度上げるとコンタクトアングルが上がるのは,シンタリングは関係ないのでしょうか. ▲くわしくいうと,酸化チタンコーティング膜を,200℃以下くらいで乾燥させると,比較的疎水的(水接触角が40〜50度くらい)になります.おそらく,この温度だと水は除去されるけど,疎水的な「汚れ」がのこってしまうからとかんがえられます.500℃くらいで加熱すると,水も有機物もなくなってしまいますが,温度がさがる過程で,雰囲気中の汚れ成分より水蒸気の方が多いので,水が優先的にくっついて,親水的(水接触角が10度くらい)になります.
《スマートなトーマス》 私の光応答電極を使う研究テーマでは先輩が最適な照度を見つけていたが,果たしてそうなのか,検証してみます.(「照度」は照明のあかるさです.話をしたのは光強度.おなじ反応系でも,光強度がちがえば反応そのものが変化しているかもしれませんしね)
《New bee》 Today's lecture is very interesting, I heard the word killer card for the first time, And I think this method is often used in mathematics to establish the truth of an argument by determining the error of judgment that contradicts the argument.(Yes, but not limited to mathematics, but, as I told you in the lecture, we use it in the studies of natural sciences.)
《半免教師》 キラーカードという言葉を作ったのがまさか先生だったとは!お気に入りです.(せやろ...いいネーミングだとおもいます,じぶんでも)
《kanako》 酸化チタンの超親水化現象が酸化チタンの光触媒反応でできた過酸化物が光分解している反応であるかもしれないということが面白いなと思いました.(はい,おもしろいんですが,それをしめすことができるのが,作用スペクトルくらいしかないということです)
《Aditya》 In today's class, I learned many new things. Again, I need to read more detail about what I have just learned.(Please do so.)
《Xishan》 少量のラジカルが何度も反応することで真の量子効率は低いが,見かけの量子効率が増加することがわかりました.(はい,それがラジカル連鎖反応のすごいところです)
《流し満貫》 キラーカードという言葉が自分にしっくりはまっていて大谷先生が作った言葉ということに驚きました.(せやろ)
《そーめん》 酸化チタンの超親水化現象の原理について完全に解明されていないことが驚いた.(はい,そのとおり.しかし,じゃあ光触媒反応の原理が完全に解明されているかというと,ちょっとあやしいです)
《コリ栗の島8.0》 For photocatalysis, it is beneficial to load appropriate amount of metal on the photocatalyst, but what is the right amount to judge by "degree of improvement in photocatalytic performance".(Yes, that's right.)
《亮平》 触媒に関するグラフの読み方が難しかったです.なぜその形になるのかなどを考えにくかったです.(「触媒」と「光触媒」はきちんと区別してくださいよ)
《Kenny》 this classm I learned that it is possible to learn the reaction mechanism by studying the spectra of the photocatalytic reaction.([English sentences must be started with captialized letters.] That is called "action-spectrum analysis".)
《steady》 ラジカルが連鎖反応を起こすことで見かけの量子効率が上がっているため真の量子効率は非常に小さいと考えられる,ということを知り,見かけ上反応を制御している因子が実は別の因子に影響されている,という可能性を考えるという視点が非常に大事であると感じた.(はい,そのとおり.そんなことをじぶんの修士論文の研究のなかで見いだしてください)
《黒猫ヤマト》 何となく感覚では強い光を当てれば当てる程反応も進行しやすそうに思っていたので,量子化効率とラジカルの反応を考えると長波長側のほどほどの光が一番反応しやすいというのは面白いなと思いました.(【講義コードは「pc20220630」です】せやろ.だいたいのことは「先入観」です)
《塩昆布》 たまたま1個できたラジカルがぐるぐる回って反応しているというのが効率的だと思いました.(ラジカル1つが「ぐるぐるまわる」んじゃなくて,ラジカルがおなじラジカルを再生産するということです...よ)
《瓜》 ラジカルが一度発生すれば,連鎖反応が次々と生じることは知識としてはありましたが,データとして見るのは初めてだったので反応性の高さを再認識できました.ラジカルを発生させることのできるギリギリの波長を照射することでラジカル濃度を最低限に保ち,ラジカル同士の再結合による停止反応を防ぐことができるという知見は勉強になりました.(はい,そのとおり.つよい光でラジカルをたくさん発生させれば,反応ははやくなりますが,効率は低下するわけで,なにごとも「ほどほど」がよろしいということでしょうか)
《Sさん》 キラーカードは一般的に言われている言葉だと思っていました.光触媒についてだけでなく,どう研究を進めて行くべきかも学ぶことができて面白いです.(そやし(大阪弁)いうたやんか,「光触媒がわかれば化学がわかる」って)
《mochi》 可視光に近い波長吸収へのシフトが得られれば,太陽光での反応ができるという点で非常に価値のあるものだと感じた.また,反応の効率を「量子収率」とひとくくりにしたもので考えていたが,連鎖反応や光吸収効率などが関わる複雑な概念であることが分かったので,もう一度考え直したい.(はい,ぜひそうしてください)
《み》 強い光の方がエネルギーが高く反応が進みそうに見えるのに,弱い光が優れている点もあることがとても興味深かったです.(そんなの2回めの講義で,「バンドギャップ以上のエネルギーの光なら,励起電子と正孔のエネルギーは一定」って言ったやんか)
《れい》 ラジカルチェーン反応は永遠に反応する様に思えました.反応を止めるタイミングは分かるのでしょうか.(いやだから,ペルオキシラジカルどうしの再結合による「停止反応」があるので,永遠にはつづきません)
《Red》 In this lecture, I understand the reason of the shift of spectrum and I learned a lot about light intensity.(What did you learn of light intensity?)
《長襦袢》 ラジカル反応が連鎖的に起こることで,真の量子効率は一定でも見かけの量子効率が上がるとわかった.(はい,そのとおり)
《けろっぴ》 吸収スペクトルが長波長側に移動することが不思議でした.また,光強度を上昇させていくと酸素の接触が律速(0次反応)になることや,途中の0.5次式で表せることにも驚きました.(で,どうしますか)
《NT-D》 酢酸の分解反応で,メタノールと比べて長波長側にシフトするのがとても面白いと思いました.また,フレークボールの形状もとても興味深く,ニトリのインテリアにそっくりだと思いました.(auの電波障害により,自宅のPC携帯が一切使用できなくなっていたため送信が遅れました.この度は申し訳ございませんでした.)([こんなところに「KDDIの通信障害」の影響があったとは...]フレークボールがどうやってできるか,興味ありませんか)

《札幌少年》 Today we talked about light Intensity and a little bit about spectroscopy.(【メールの書式がまちゃくちゃ!】Only little bit?)