きょうの論文のひとつ「RDBPL2016(Nitta, A.; Takase, M.; Takashima, M.; Murakami, N.; Ohtani, B. Chem. Commun. 2016, 52, 12096-12099.)」は逆二重励起光音響分光法(RDB-PAS)による固体材料の分析についての最初の論文で,出版されてからきょうで9年.当初は,粉末試料を同定(identification)できることが「うり」だったが,9年たったいまは,えられるERDT(電子トラップ密度のエネルギー分布)パターンをピーク分離する解析法がほぼ確立されて,サンプルの表面構造の分布に関する情報がえられるようになっている.ただ,「同定」できるという話は比較的受けいれられやすいが,ERDTにふくまれる各ピークをそれぞれべつの表面構造に帰属するということになると,「そんなことができるという根拠があるのか」という(審査員の)反発がはげしい.「技術の社会実装化」での「魔の川・死の谷・ダーウィンの海」のうちの,「魔の川(研究〜製品開発間での問題)」にすぎないから,まだまだ道はとおい. |