この本の「訳者あとがき」はなかなか読みごたえがあった.なかでも,クーンとポパーの論争の底辺にあるのがそれぞれの立場のちがいであることを示唆した「クーンの思想は,自ら物理学者としての経験を背景とした,現実の科学者たちの具体的な行動の分析の中から,その必然的な成果として生まれ出たものであり,机上における抽象的かつ哲学的な思索の中から生じたものでは決してなかったのである」(479ページ)は,とても納得のいくものであった.なにせ「『科学革命の構造』発行後の1965年には,クーンをロンドンに招いて,生粋の科学哲学者カール・ポパーを議長とする科学哲学国際コロキウムが開催された.これが世に言う,ポパー派によるクーンの袋叩きと称せられる国際会議である」(476ページ)だから.《はさんであった貸出票をみると,この本は2025年9月7日に北大附属図書館から借り出されていたのであった...8か月まえ!》 |