研究会の紹介home研究会設立の経緯と歴史(最終更新: 2002年02月15日 )

  • 化学反応は原子、分子の組み替えと電子の授受に伴って進行します。通常の触媒反応では難しい反応や熱力学的に不可能な反応でも、外部から電場や光を加えることによって新しい展開が可能となることがわかっています。エレクトロキャタリシスでは電場によって、フォトキャタリシスでは光によって、目的とする触媒反応の速度と選択性の制御を行おうとするものです。これらいずれの領域においても、外部からの摂動(電磁場)によって起こる原子および分子の活性化とそれらの間に起こる電子の授受が重要な点です。当研究会では2つの領域に共通する以上の視点の更なる深化と理解のために、エレクトロ・フォトキャタリシス研究者の連携の下に新たな展開を計ることを目的としています。
  • 1988(昭和63)年に触媒学会の研究会のひとつとしてエレクトロキャタリシス研究会が設置されました。1994(平成6)年に現在の「電子または光子のかかわる触媒研究会」として再スタートしました。
年度
名称
代表世話人(所属)
1988(昭和63)年
エレクトロキャタリシス研究会
喜多英明(北大理)
1989(平成1)年
1990(平成2)年
1991(平成3)年
延与三知夫(北大触媒セ)
1992(平成4)年
1993(平成5)年
1994(平成6)年
電子または光子のかかわる触媒研究会
大塚潔(東工大工)
1995(平成7)年
1996(平成8)年
1997(平成9)年
安保正一(阪府大工)
1998(平成10)年
1999(平成11)年
大倉一郎(東工大生命理工)
2000(平成12)年
2001(平成13)年
「電子または光子の係る触媒研究会」活動終了のお知らせ

世話人代表 大倉一郎

 本研究会は、電場や光(電磁場)によって起こる原子及び分子の活性化とそれらの間の電子授受を伴う触媒反応を対象とし、エレクトロ/フォトキャタリシスに携わる研究者の連携のもと、これらの理解を深めるとともに新たな展開を図ることを目的としてきた。特に、地球規模でのクリーンなエネルギー生産や環境保全問題に寄与できるように、光化学電池(Gratzel型太陽電池)、酸化チタン半導体光触媒などの応用による汚染水や汚染大気の浄化、人工光合成型の二酸化炭素の還元固定、新合成プロセスの開発、生体関連反応、燃料電池などの広範な領域とかかわりをもった研究会である。電気や光を用いることで環境に優しい温和な条件で触媒反応が行えるため、本研究会のかかわる領域は環境調和型技術に深く関連しているといえる。また、本研究会とかかわりの深い「光がかかわる触媒化学シンポジウム」を発足時より取り込み、長期にわたって継続されているこのシンポジウムをより発展させるとともにこの分野の活性化も目的の1つとしてきた。この目的に沿って、これまで幾度かのシンポジウム、セミナーや世話人会を開催し議論を重ね意見交換を行ってきた。その成果は「触媒」に記述した通りである。
 クリーンで新規なエネルギー生産や地球規模での環境保全問題に対する社会の要望に応じるために、今後さらに、光化学電池の電子移動過程を含めた光−電気交換機構の解明、また汚染大気の浄化や悪臭物質の分解除去さらには抗菌・殺菌剤など広く応用展開が計られている酸化チタン光触媒などの高効率化や可視光化さらには光触媒作用機構の分子レベルでの解明など、基本的な寄与が求められている。人工光合成型の二酸化炭素の還元固定、新合成プロセスの開発、生体関連反応の解明、新規な燃料電池の開発とその機構解明など広範な領域での活動と寄与が重要であり切望されている。環境調和型技術の宝庫とも言えるこれらの分野において、触媒学会がイニシャチブをとるためにも、研究会の活動が不可欠の状況にあると考えている。以上のことから本研究会を発展的に解消し、重点目標を定めた新しい研究会「燃料電池関連触媒研究会」と「光触媒研究会」の発足が期待されよう。最後に、本研究会の活動にご尽力下さいました世話人各位、ならびに研究会に参加し活発に討論頂きました皆様に厚く御礼申し上げます。

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