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2003年7月28日 日刊工業新聞 掲載記事(HTMLバージョン) (PDFバージョン[320K])
北大と阪大、界面触媒型の酸化チタン光触媒を開発

北海道大学触媒化学研究センターの大谷文章教授と大阪大学太陽エネルギー化学研究センターの池田茂助教授は、水と有機溶媒の境目で反応を進める「界面触媒」型の酸化チタン光触媒を開発した。親水性の酸化チタンの一部を親油性に変えて、原料ベンゼンと水の2層間で働かせると、光触媒の合成反応でフェノールが生成した。これを使えば、揮発有機化合物(VOC)汚染の地下水など、通常の光分解反応も効率化が図れそうだ。

 北海道大学触媒化学研究センターの大谷文章教授と大阪大学太陽エネルギー化学研究センターの池田茂助教授は、水と有機溶媒の境目で反応を進める「界面触媒」型の酸化チタン光触媒を開発した。親水性の酸化チタンの一部を親油性に変えて、原料ベンゼンと水の2層間で働かせると、光触媒の合成反応でフェノールが生成した。これを使えば、揮発有機化合物(VOC)汚染の地下水など、通常の光分解反応も効率化が図れそうだ。
この研究は科学技術振興事業団のさきがけ研究で行われた。同グループは酸化チタン光反応による有機合成を研究しているが、酸化チタンは親油性の有機化合物原料となじまない問題があった。
 今回はまず、酸化チタン粉末に少量の水を加え、粒子数十個が凝集した固まりを作製。これをアルキル化剤を溶かした有機溶媒に加えると、凝集体の内側は親水性のままで、外側だけがアルキル化され親油性になる。その後、水中にあけると粒子はバラバラになり、親水・親油性を併せ持った触媒粒子が得られた。
 これを下層が水、上層がベンゼンの反応装置に加えて界面に置き、紫外線照射したところ、光触媒反応でフェノールが生成した。2層反応なのに撹拌が不要で、原料の有機層だけをポンプで入れ替えることもできそう。
 さらに、酸化チタンの光分解反応で、VOCが混入した水の浄化や排水の有機物処理にも使えるとみられる。通常の酸化チタン粒子を水分散したものでは濁って光が届かず、水中に酸素を吹き込むとVOCも逃げてしまうなどの課題があるからだ。界面触媒ならば汚染水の上で空気中の酸素を取り込みながら、効率的な分解ができると期待できそうだ。

界面光触媒
[この記事の著作権をもつ日刊工業新聞社からの許可(許可番号N-1503/2003年8月1日)をうけて転載しています。]

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Professor Y. Wada