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質問と回答
  • 2: 日付の半角と全角が統一されていない.■原稿では,英数字は半角だが,一般に本の出版では,1桁の数字を漢字とおなじ大きさ,2桁以上を幅の細いフォントにするようである.出版では,半角とか全角という区別はない.
  • 2/脚注1: 「「この研究科は2005年度より環境科学院に改組の予定」とあるが,すでに改組済である.■論文や本の原稿執筆に際しては,執筆時点,あるいは出版時点における情報を書く必要がある.「2005年度より改組予定」で,実際に読者がみるときには,すでに「2005年度に改組済」であると予想されたとしても,執筆時点で確認できないことを「改組済」と書くことは,ねつ造である.何かの都合で予定が変更されたらどうするのか,という問題以前に,予定であることを事実のように書くことは許されない.このことを逆に言えば,本や論文に書かれていることはその時点の内容であり,あとから読んで「これはまちがっているよ」などと指摘するのは意味がない.
  • 4/脚注6: 「情報の鮮度と縦覧しやすさは反比例する」とはどういうことか.■縦覧しやすいということは,内容が分類,整理されていて,どこを見たらよいかがわかりやすいということ.情報の鮮度が高いということは,まだ関連するものがなく,内容が分類,整理されていないことになる.したがって,両者は反比例の関係になる.
  • 6/下から12: 「論文に書かれたデータをよく検討してみると・・・」 の部分で,p. 3のデータと結果についての記述から考えると,論文に書かれていることは,データを処理して得られた結果であるので, 「論文に書かれた結果をよく検討してみると...」の方が適切ではないのか.■「データ」でいいです.
  • 7/下から1: 「頂上に立ち,すくなくとも途中までは生きて帰ってきた」が登頂の定義であることをしめしている」とあるが頂上で死んでいた場合はどうなのか.■登頂したことになると思う.この場合,頂上からの帰還距離)が0でも途中であると解釈すればよい.
  • 8: 「知的生産の技術」がどのような本なのか.■読んでください
  • 8/下から5: 「とても20年以上前の本とは思えない新鮮さがある」は,出版の年を考えると30年以上前の方が適切ではないか.■指摘のとおり.
  • 10/下から10: 「・・・この種の議論の重要性は説明をまたない・」の 説明をまたないの意味は「説明するまでもなく大切である」と解釈したが正しいか.■正しい.
  • 11/8: 「溶液は6Nの水酸化ナトリウムである」とあるが「〜水溶液」とつけるべきではないか.■指摘のとおり
  • 12/1: 「最初からガスタイトシリンジをつかっていた」とあるが,他にどのようなものを使うものなのか(シリンジしか知らない).■ふつうのガラス製の注射器のスリ面にグリースを塗れば気体採取に使用可能.
  • 17/1: 「側面から攪拌」とはどういう状態なのかよくわからない.■側面にスターラーを立てて設置し,マグネットが垂直面に平行に回転する.要するに,装置全体を横向けたということ.
  • 32/16: 「そのころの意味」とはどのようなものか.■不明.中世においてどんな意味だったかはわからない.

  • 37/6: 「光の吸収により暗反応の触媒を生成しておこる触媒反応も広義の光触媒と呼ぶ」とあるが,光触媒ではない触媒が光の吸収によってできる反応も広義の光触媒と呼ぶという解釈で良いのか.■ある物質が光を吸収して反応を誘起させ,それじしんが変化しなければそれは「光触媒」になるので,「触媒」をつくるために光を吸収した何かが変化しないものであればそれは光触媒.光を吸収した「何か」が変化して触媒が生成するのであれば,光触媒反応ではない.
  • 37/脚注103: 「神を本質に言いかえてしまうのは細部ではないのか」の意味.■「神は細部に宿る」ことを認めるならば,このことばじしんについてかんがえたときに,『神』という語を『本質』に言いかえることは,細部をないがしろにしている,という意味.もともとは「神は細部に宿る」なのに,言っていることがだいたい同じなら「本質は細部に宿る」と言ってもよい,という発想は,「本質は細部に宿る」ことと矛盾している.
  • 41/17: 「アモルファス」の和訳として「無定形」をつかっているが「非晶質」との区別はあるのか.■「非晶質」でもかまわない.「無定形」は『a(否定=notの意味)』+『morphous(形)』をそのまま訳したもの,「非晶質」は結晶ではないという意味を解したもの.たまたま本書では「無定形」をつかっただけ.ちなみに,アモルファスの定義は「〜でないもの」ということなので,それがどんなものかという定義はできない.つまり,ある「アモルファス酸化チタン」とべつの「アモルファス酸化チタン」がおなじ構造とはかぎらない.
  • 42/下から6: 「価電子帯と伝導帯の間のバンドギャップが小さい場合(真性半導体)」とあるが真性半導体に限らず不純物半導体もそうではないのか.■バンドギャップが小さければ,不純物をつかわなくても半導体になる...ということですが...
  • 43/図1-2: 価電子帯と伝導帯のエネルギー準位の本数が違う(それぞれ8本と9本)がこれは正しいのか.■数がちがうのは指摘ではじめて気づいた.ちがっててもいいのでは.
  • 44/図1-3: なぜルチルにおいてピークが見られるのか.■おなじページに「バンドのなかのエネルギー準位の密度は実際には一様でない」とあるように,吸収端付近ではなだらかに吸収が減少する.おなじ意味で,極大吸収があってもおかしくない.
  • 44/図1-3: ルチルの340〜370 nmの領域でスペクトルが上向きな理由.■「電子のエネルギー密度が実際には一様ではないから.」...というよりは,DOS(状態密度)は一様ではないので,吸収はそもそも一定ではないから.
  • 44/図1-3: 340 nm以下の波長でのスペクトルの形状はどうなるか.■「バンドギャップを超える波長の光を当てるとエネルギーはある一定値になるからx軸に対して平行なスペクトルになる.」...なんてことはありません.各波長における吸光係数に応じたスペクトルになる.
  • 44/下から1: 「相互作用」とは具体的にどのようなものか.■静電力.つまり正電荷と負電荷が引き合うということ.
  • 45/下から1: 「十分な電気伝導性」とはどれくらいの大きさか.■電気化学測定ができる程度の電気伝導性
  • 44/脚注24: 「相体拡散反射率」は「相対拡散反射率」のあやまり
  • 46/1: なぜ価電子帯は酸素の原子軌道から,伝導帯は金属の原子軌道からなるのか.■酸化チタンでは,酸素イオン(2-)は2pまでの電子,チタンイオン(4+)は3pまで電子が入っている.原子番号の大きいチタンの3pレベルは酸素よりも低いため,価電子帯は酸素の2pとチタンの3s/3pから,価電子帯はチタンの3dからなると予想される...というのがふつうの言い方.原子軌道のレベルでいえば,価電子帯の上端はチタンの軌道でもいいように思うが...伝導帯の底はチタンの3d軌道であるというはおそらく正しい.
  • 45/脚注26: 5行目の「曲がりの深さ」は仮想的なバンドの曲がりの深さのように受けとられるので,「曲っている部分の表面からの深さ」としたほうが良いのではないか.■指摘のとおり.
  • 47/下から8: 「過酸化水素(H2O2 :酸素分子1つが2個の電子と反応した場合)や水(H2O:酸素分子1つが4個の電子と反応した場合)」とあるが式(1.1)や(1.2)のような反応式を知りたい.■O2+2e-+2H+=H2O2・O2+4e-+4H+=2H2O
  • 48/8: 白金を担持させると,なぜ白金に電子がプールされるか.■「なぜ酸化チタンから白金に電子が流れるのか」の意味なら,白金のフェルミレベルが酸化チタンの伝導帯下端のやや下にあるので,転がり落ちるというイメージ.酸化チタン懸濁液に3価のチタン種を生成させておいて,白金コロイドをくわえると水素が生成する.「なぜプールされるのか」,つまり「どうして白金に電子が蓄積するのか」という意味なら,それは「すくなくとも水素発生のためには,白金の粒子に1個の電子が来ても水素分子にはならないので,つぎの電子が来るまでは白金上に電子が保持される」ということ.実際には,多数の電子が白金に入ってできる水素原子が白金の表面をうごきまわっているうちに別の水素原子と衝突して水素分子ができるというイメージ.
  • 48/8: 「担持金属が励起電子のプールとして働き」とあるがこれは金属の電気伝導性によるものか.■金属はバンドの一部だけが電子で満たされている状態なので,よぶんな電子を出し入れできる.これが電気伝導性に寄与している.電気伝導性によるものというより,おなじことが別の現象にあらわれたもの.
  • 49/3: 「表面水酸基」とあるが式(1.5)のOH-は表面水酸基を表しているのか.■そのとおり
  • 49/6: 別の手法で発生させた水酸ラジカルとはどんな手法か.■「塩素に紫外線を当ててラジカル化させるような手段か」...なんてことはありません.たとえば,過酸化水素と鉄(II)イオンの反応(フェントン反応)など.
  • 全般: なぜ酸化チタンはn型半導体なのか.■一般に金属酸化物はその構成要素の酸素イオンが酸素分子として脱離可能なので,結果として電子過剰のn型半導体になると考えられている.

  • 全般: 「撹拌」という字になっているが,「攪拌」にするべきでは.■21/脚注58参照.手書きでも「攪拌」と書く,という人は「攪拌」をつかえばよい.著者は,手書きでは「撹拌」である.
  • 57/表1-1: 注釈gの最後の文「 <>は,データがなく sd =1500と仮定して比表面積から求めた推定値」という文は注釈 fで書かれる内容.■指摘のとおり
  • 57/表1-1: JRC-10の sd になぜカッコがあるのか.■比表面積が大谷研で測定したものを使用して計算しているから
  • 58/10: 「また,酸化チタン粉末には,化学吸着あるいは物理吸着した水がかならずふくまれている」について,化学吸着した水と物理吸着した水はそれぞれどのように吸着しているのか/化学吸着した水は表面積測定に影響するのか.■化学吸着とは水が解離している場合で,たとえば酸化チタンの表面のブリッジ酸素(2つのチタンイオンのあいだにある)と水が反応して2つの水酸基ができたような場合.物理吸着は,そのまま水分子として表面にある場合.ただし,両者が完全に識別できるかどうかは不明.表面構造が変化するなら表面積測定に影響をあたえる.
  • 59/下から1: 「100℃でオゾン処理」とあるが,オゾン処理はどんな処理か.■引用文献の中にはくわしくは書いていないが,オゾンを含む空気(あるいは酸素)とふれさせることによって有機化合物を酸化分解するものと推察される.
  • 60/12: 「アルゴンや窒素なその不活性雰囲気では基質を加えなくても水素が発生するので...」 とあるが,不活性雰囲気という条件は書かれているが,白金担持の条件については書かれていないということは,担持されていなくても水素は発生するのか.また,するとしたらなぜか.■発生する.ただし量は小さい.正孔の消費に対応する電子の大部分は酸化チタンじしんを還元すると,無視できるレベルの微量の水素が発生する.
  • 61/下から6: 「金属担持」は粉末の光触媒だけではなくフィルムにもそのまま適用できるのか.■フィルム=薄膜といっても,実際には微粒子が集積した多孔質のものがほとんどです.この場合,金属源を含む溶液がその薄膜内に浸透すれば(光をつかう場合には,その光が薄膜内に侵入するのであれば)そのまま適用できる.
  • 62/3: 「金属によっては酸化によって析出させることも可能で,鉛などはこの方法で析出することができる」という記述に対して,鉛イオンは2価や4価のものがが知られているが,酸化させて析出するためには酸化鉛などから析出させるということなのか.■酸化することによって,生じる水酸化物(あるいはそれが脱水して生じる酸化物)の溶媒への溶解度が低ければ,酸化物が析出する.実際に2価の鉛イオン(Pb(II))から酸化鉛(IV)=PbO2を析出させることが可能.
  • 62/23: 「塩酸(塩化水素)が副生する」の「副生する」という言葉は辞書(大辞林,広辞苑,理化学辞典)に記載されていないので,「副生成物が生成する」「副生成物が発生する」などの表現が適当なのではないか.■意味はそのとおりなので,それがわかったとするなら,だいたい意味はつかんでいるということ.このことばは化学者としては知っておくべき用語.なお,大辞林と広辞苑は学術用語はないので,それに掲載されていないことが不適切であるとの理由にはならない.理化学辞典はあくまで「辞典」なので,用語集ではない.もし参照するとするなら,文部科学省学術用語集か.日本化学会編「標準化学用語辞典」には『副生物』があるので,『副生』も通用する用語であると考えられる.
  • 63/8: ルチルとアナタースの白金のつきやすさのちがいはこのことに関係しているのか.■おおきく言えば,白金の析出速度は,吸着量のちがいによる.水酸基の量や酸強度も関連するし,比表面積そのものも関係する.一般にルチルの方が析出しやすいという経験則があり,水酸基量などが関連しているものと思われる.
  • 64・70: p. 70最後の文「一夜間」の後に(overnight)と書かれているのに,p. 70よりも前のページであるp. 64の最後の文には「一夜間」のあとに(overnight)と書かれていない.p. 64に記載してp. 70に記載しないのが正しい.■指摘のとおり
  • 68/式1.16: なぜ√がかかっているのか.■...なぜとは...この式の誘導をすればわかるのでは
  • 61-75: 各金属担持法の説明にフローチャートがあれば流れが理解しやすくなる.■...じぶんでつくればさらに理解が深まる
  • 71/22: 白金黒とあるが微粒子の状態だけが黒色なのか.■色には,透過色と反射(散乱)色があり,微粒子ではその色はどちらも関係する可能性がある.白金の微粉末は,白金の板などと同様の金属としての反射色が見えている.白金黒になると,微粉末の散乱により入射した光が戻ってこないので黒になる.金や銀の粒子では,粒子サイズにより色が変化する.これは,Mie散乱による.
  • 74: 中段からの「実例:コロイド塩析法による白金微粒子の担持」において塩化白金酸とクエン酸ナトリウムがどのように作用して白金微粒子ができるかがわからない.■クエン酸ナトリウム(正確にはクエン酸イオン)は,還元剤としてはたらいて白金金属を析出させるとともに,金粒子表面に吸着して安定化させている.
  • 73/6:  「光触媒が構造変化する場合もある」とはどんな構造変化なのか.結晶状態が変わるのか.結晶転移するのか.■酸化チタンの場合,アナタースでもルチルでもアモルファス化が起こるようである.また,アナタースからルチルが生じる場合もある.
  • 76/脚注96: 「化学的な(ウェットプロセス)方法で」の『ウェットプロセス』の位置が違うのでは.■指摘のとおり.「化学的な方法(ウェットプロセス)で」
  • 78/12-13:「粒子径を100〜200 nm以下にすれば」とあるが,「粒子径を100 nm以下にすれば」が正しいのでは/200nmの粒子径でも透明になるのか.■その前の「400〜800 nm」をうけているので,そのまま.波長によって異なるため,たとえば赤い光なら比較的大きくても透明になる(はず)ということ.
  • 78/13:透明とは無色透明なのか.■ここでの「透明」とは散乱がないことをしめしている.無色かどうかは議論していない.
  • 80/19: 「チタン-アルキル基」とあるが,アルキル基はどこにあるのか.■「チタン-アルコキシ基」のあやまり
  • 81/13: 「親水性が不足する場合には...」において,テトラエトキシシランで処理後加水分解することで親水性が向上する
    理由がわからない.ガラス表面にこの処理を行ってもまた同様のSi-Oの層ができるだけなので,親水性に変化は起きないのではないか.■水酸基の密度が増大するのでより親水的になる.テトラエトキシシランは,それどおしでネットワークをつくるので,ガラスの表面水酸基の数以上につくことができる.
  • 82/13: 「ドクターブレード法は・・・器具である.」←主語と述語が一致していないのでは.■指摘のとおり.「...押しひろげる方法である」
  • 83/2: 「寸切りボルト」とはどういうもので,どのように使うのか.■どうようなものかは脚注118参照.ドクターブレードのかわりにつかう.(質問の意味はなに)
  • 83/脚注118: ステンレスなのに塩素イオンを含む溶液中で腐食されやすいのはなぜ.■ステンレス(スチール)はさびないわけではない.条件によってはさびる.実際には,ステンレス表面はすでに酸化物被膜におおわれた不動態(つまり「さびている」)になっているが,塩素イオンが不動態膜を通過(あるいは膜のすきまから侵入)すると電気化学機構で腐食がおこる.腐食の電気化学機構については電気化学の専門書を参照.
  • 90/17: 「粘度が大きいほど...膜厚が小さくなるのは直感のとおり」とはどういうことか.■「粘度が大きいほど...」は「粘度がひくいほど...」のあやまり.
  • 93/3: 「だんだんと負に帯電して像がとれなくなる」の「だんだんと」は「負に帯電して」にかかるのか「像がとれなくなる」にかかるのか.■「だんだんと」は時間経過をあらわしている.さいしょは像がはっきりと見えていたのが,観察をつづけるうちに見えなくなる.どちらにもかかっている.より正確には,「試料が絶縁体のときは,試料が負に帯電するために観察できない」.
  • 93/2: SEMとTEMでは見える像にどのような違いがあるのか.■《自主ゼミでは,「SEMでは試料に当てた電子線からの散乱や反射を測定し,3次元の像として見える.TEMでは試料を透過した電子線により透過像として見える.重い金属では電子を吸収,散乱するので透過する電子線が弱くなり黒く見える.」とあるが,誤りが多い.目次や索引で「電子顕微鏡」が書かれているところを参照するのが当たり前》 SEMでは,試料に電子線をあてたときに生じる二次電子を検出する.電子が試料から飛び出せるには,試料表面から浅いところだけなので,表面のようすが見える(3次元ではない).TEMでは,透過像を見ている.電子密度が高い(原子番号が大きい)ものほど電子線が通過しにくい.(「黒く」見えるかどうかは,ネガ像なのかポジ像かによってちがう).
  • 93/4: 金属を蒸着(スパッタ)とあるが,どのような金属を用いるのか.■《自主ゼミでは,「自分が実際に実験で使用したのは白金.他の金属はわからない.電子を多く反射する金属であればいいのではないか.」とあるが,そんなことで解決したと思っているなら,そのことじたいが問題.「電子を多く反射する(SEMでは反射電子ではなく二次電子を検出しているのでこれは誤りだが)金属がいいのなら,高価な白金を使う必要はない」と思うのがふつうである.》 金属を蒸着する目的は電気伝導性をあたえることなので,それが可能であることが条件.
  • 95/15: 「刷毛(筆)塗り」.これより前(80/8)にも「刷毛塗り」は登場しているが,(筆)と書かれているのはこれだけ.さいしょの登場の際に書くべきでは.■指摘のとおり.ちなみに「刷毛」は『はけ』とよむ.
  • 97/脚注163: 論文で書かれている「high presure」が日本では高圧と訳されるのか.■論文をみるだけでは,それが,日本における「高圧」「超高圧」のいずれにあたるかは判別できない.欧米のメーカのものなら(日本における)「超高圧」,日本製の水銀灯なら「高圧」であると想像するだけである.
  • 97-102: 水銀灯で低圧の場合と高圧の場合,発生する光の波長の特性が違ってくるのはなぜか.■水銀のプラズマ(電子が原子から遊離した状態)から放出される光が水銀灯の光であり,水銀原子の凝集状態などによって,放出されるエネルギーが異なるため,内部の圧力によって波長や強度が変化する.
  • 103/3: キセノンランプからなぜオゾンが発生するのか.■酸素は180-190 nmに吸収があり,酸素はその波長の光を吸収して原子状に解離し,それが酸素と反応しオゾンが発生する.
  • 101/5111/下から5: 「第0章 Section1 研究と技術――攪拌装置」の『攪拌』は,本文中他の箇所にあわせて『撹拌』を使ったほうがよいのではないか.■指摘のとおり.校正時のチェックもれ.
  • 106/下から4: ツェルニー・ターナ型が一般的ということだが,他にどのような型があるのか.■単一波長をとりだすための分光器としてはツェルニー・ターナ型以外にはローランド型があるようだがほとんど用いられていない.この形式の特徴は,入射光をミラーで平行光として回折格子に入射させ,回折光をもう一度ミラーで集光するもの.回折格子による分光についてはつぎのサイトがくわしい.
  • 107/下から3: われることが多い.とあるが、水槽中に浸す以外の対策はないのだろうか.■光学フィルターの一部だけに強い光があたると,局部加熱により破損するので,できるだけひろい範囲に光があたるようにフィルターの配置を変えればいいが,実際には光源の出射部分と反応容器の形や大きさの制限から,自由に配置を変えられないことが多い.
  • 107/下から1: 透過しない光の波長範囲を発するので注意とあるが,透過しないならなぜ注意が必要なのか・光に変換されるというのはカットフィルター上で光が発せられることになるからなのか.■カットフィルターが光を吸収し,その結果として透過しない波長の光が試料に届くことになる.たとえば,300-400 nmの紫外光だけを透過させるフィルターから,可視光の蛍光が発生すると可視光が照射されることになる.
  • 109: モアレとは何か.■メッシュを2つ重ねたときにできる縞状の模様.
  • 115:50%程度の高濃度では、ほとんどホルムアルデヒドでとまっているのはなぜか.■《自主ゼミでは「正孔がホルムアルデヒドよりもメタノールと選択的に反応するためと思われる.低濃度の場合は反応に使われるメタノールが不足するため,生じるホルムアルデヒドが正孔によってさらに酸化される.」で決着したそうだが,それで解決したというのであれば自主ゼミの意味はない.》 脚注222にあるように,低濃度でも条件によってはホルムアルデヒドが主生成物になる.「正孔がホルムアルデヒドよりもメタノールと選択的に反応する」のであればどんなときでもホルムアルデヒドが主生成物になるはずで,これは誤り.「生成したホルムアルデヒドにくらべてメタノールが圧倒的に多いので,ホルムアルデヒドがさらに酸化されるよりメタノールが酸化される」というのが合理的な説明.
  • 122:DL-ピペコリン酸の出る順番は違うのではないか.■カラムの種類によって異なる.Daicel Chiralpak MA(+)ではこの順番.
  • 120-122: L-リシンの仕込み量は100μmolではなく実際には中和したときに量が変わってこの場合98μmolになるのではないか.■指摘のとおり.p. 120 (3)の表記を「L-リシン塩酸塩水溶液を中和した後に50cm3に合わせる」もしくは(4)の表記を「5.1cm3入れる」に直すべきである.
  • 118-122: それぞれの反応系で正孔と電子が具体的にどういう反応がおこってそれぞれの量論式が得られるのか.■電子と正孔がいくつずつ使われるかを明らかにするのは容易ではない.量論式は,電子と正孔が同数使われることを示しているだけである.
  • 122:ピペコリン酸光学純度を求める式の分子でD体を減算する意味は何なのか.■光学純度とは,光学活性体が全体のうちでどれだけの割合かをしめす.光学活性体でないものはラセミ体である.D体とひとしい分のL体は光学活性体ではなく,ラセミ体の一部であるから,減算して光学活性体のL体の量をもとめる.
  • 122: FIDとは何か.■《自主ゼミでは「水素炎イオン検出器のこと.物質を水素炎中で燃焼させ,発生したプラズマ電子を検知する.主に炭素化合物を検出できる.」で決着したそうだが,誤りである.問題はこの内容が誤りであることではなく,この程度で「わかった」つもりになるという姿勢そのもの.》 水素炎イオン化検出器(flame ionization detector/「ionization」なので「イオン」ではなく「イオン化」)で,ガスクロマトグラフの検出器の一種.水素炎中で,有機化合物から電子がたたき出され(プラズマ状態)てカチオンになり,これと電子を高圧を印加した電極で捕捉して電流として検出する.カチオンになりにくいホルムアルデヒドやギ酸は検出されない.

  • 128/8: 「研究室が多くの」は「研究室の多くが」か.■微妙.ひとつの研究室でたくさんのNMRをもっていることが多い.書いたときの意味はこれだった.
  • 128/脚注251: 「結晶の多形」とあるが多型ではないのか?■原文どおり.化学組成が同一で結晶構造が異なる現象を同質多形(polymorphism)という.
  • 129/1: 他のデータとはどんなデータのことか.有益な情報とならないのはどれを指してるのか.■化学組成が同じであっても,多形という現象のために融点が異なることがある.つまり,融点は化学組成によってのみ決まるのではなく,化学組成とその結晶型によって決まるため,化学組成を決定する「同定」において,標品と異なる融点が得られたとしても,標品の化学組成と同じであるとも,異なるとも結論できない.このため,有益な情報にならない.「他のデータ」とはその物質の物性データ.
  • 130/ミリマスと通常のマススペクトルはなにがちがうのか.■(質問の意味が不明)何かがちがうから名前がちがう.何がちがうのか,ということについては本文を参照.その意味でこの質問は何を訊いているのかが不明.本文中には「ミリマスでは小数点以下4桁程度まdの分子量を知ることができる」とあるのでふつうなら「通常のマススペクトロスコピーはそこまで質量分解能がないのだろう」と考えるわけで,両者のちがいは「質量分解能」ということになる
  • 130/ミリマスの使用法は何ですか.■(質問の意味が不明)何を訊きたいのかが不明.本文からは「小数点以下4桁程度までの分子量を知る」ことが目的になると読みとれる.
  • 130/16: クーゲルロールは何ですか.■(質問の意味が不明)本文に「少量の試料を簡易に蒸留分離する」装置であると書いてある.その上で何を訊きたいのか.何をしらべたのか.
  • 130/ミリマスによる解析でなぜ分子はイオンの形で検出されるか.■質量分析の基本は,荷電粒子の運動が磁場によって曲がることを利用しているので,中性の分子では分離できない.イオン化については,一般に電子を付加してアニオンにするより,引き抜いてカチオンにする方が簡単で,多くの場合は加速電子を照射して電子を「たたき出す(ei=electron impact)」ことによってイオン化させる.ミリマスだけでなく,比較的分子量が大きく,結果として蒸気圧が低い分子については,電子照射によるたたき出しができない.このため,ソフトなイオン化とよばれるようなマトリクスを用いる場合が多く,結果として(M+H)+を検出することになる
  • 137/下5:「気相成分の拡散は意外に遅い」とあるがどのくらい遅いのか.■「水(液体)に色がついた物質をいれたときの色のひろがり方」より速く,「真空にした容器のなかに,色がついた気体を注入したときの色のひろがり方」より遅い,くらい遅い.
  • 131/15: 減圧下とはどれぐらいの圧力のことか?■オイルロータリーポンプによる減圧程度(0.1〜1 mmHg).
  • 133/図1-24: ○と×はそれぞれ何を表しているのか.また,×の混合物のピークの裾野の部分が未知試料と標品よりも高いのはなぜか.■○:同成分の場合/×:異成分の場合.指摘どおり図が不適切.未知試料と標品のピークを構成比分に小さくしたものを加算したものが正しい.
  • 134/1: 平均値より大きい場合はないのか?■原理的にはありえない.
  • 134/脚注263: 「スポットティング」は「スポッティング」では?■指摘のとおり.
  • 135/14: 紫外線ランプを当てるとその部分だけ蛍光がなく暗く見えるとあるが暗くではなく明るくなるのでは?■プレートに配合された蛍光物質を励起する紫外光をスポットに存在する有機化合物が吸収すると,その部分の蛍光がなくなるため暗くなる.
  • 135/図1-25: この図の見方は?■「見方」? TLCプレートを正面から見た図.
  • 135/脚注266: 「光源の選択」の部分は太字ではないのか?■指摘のとおり
  • 136/脚注270:  ガスクロ収率は単離収率より高い>いつでも?■原理的にはいつでも.単離操作中に失われる可能性があるため.
  • 137: クロマトグラフィーによって定性分析と定量分析の両方ができるのか.■できる.
  • 137/10: 「注意すべきことは3つある」とあるが4つでは?■指摘のとおり.「ホンモノの思考力−口ぐせで鍛える論理の技術」(樋口裕一・集英社(2003))によれば,「ところが,フランスに行ってみると,とりわけインテリでもないひとでも,『理由は三つある.第一に〜』といった話し方をする.ところが,『理由は三つある』といいながら理由が二つしかない場合や四つある場合に何度も出くわした. 」(p. 23)そうである.「3つ」というのは「some」程度の意味だと思えばよい.
  • 139/式1.29: 式の導き方が分からない.■気体を採取するときに,容器の中の圧力が「(V+22.4x)/V」倍になっている.針をぬくと大気圧になるので,針から気体が外にもれだす.このため,シリンジ内に残っている量は,もとの「V/(V+22.4x)」倍に戻るため,この式になる.
  • 143/下から9: アルゴンにすると電流制限値が下がるのはなぜ?■想像だが,アルゴンの熱伝導度が低いために,フィラメントが過熱するため.
  • 144/2: 充填剤粒子間の流速と空孔内の流速はどの程度違うのか?■孔の大きさのちがいによって変化する程度ちがう.噴散(effusion・孔を通しての自由拡散)を考えると,孔の断面積に比例して流速が増大する.
  • 144/6+8: (エージング=aging)とあるが,すでに6行目に(エージング)とあるので6行目の方に(エージング=aging)とするべきでは?■指摘のとおり
  • 144/8: 「一夜間」の正確な時間は何時間か.■正確な時間が必要であれば,その時間を書いてあるはず.そうでないのは「適当な(『いいかげん』という意味ではない)時間」であるこというこであり,その意味で正確な時間を知ろうとすることじたいが問題.「適当な」というのは本来の目的が達成できる程度ということであり,「一夜間は最長でも12時間と考えられるので12時間やればじゅうぶんだろう」というのはまったく意味のない議論.ここでは,「吸着成分の除去」が目的なので,一夜間エージングしても「吸着成分が除去されていないと思われる」のであればさらにエージングをする必要がある.なお,「一夜間」というのは,「そんなことを昼間にやって実験時間をむだづかいするな」という意味の方が強い.
  • 149/18:還元FID法は何ですか.■(質問の意味が不明)該当箇所に書かれている内容以外に何を訊きたいのか.
  • 145/図1-26: かっこがあっていない[(読者)].■指摘のとおり.「(下)シリンジ(0.5 cm3用本体),プランジャーと,プランジャー先端の交換用チップ(手前の白い小パーツ)」が正しい.
  • 154/3: 「IE = Electron Impact」は「EI = Electron Impact」では. ■指摘のとおり
  • 154/下から3:シリル化すると,なぜ誘導体化するのか.■誘導体化というのは,アルコール,アミン,あるいはカルボン酸など,水素結合をつくる有機官能基の活性水素をべつのもので置換して沸点を低下させるために行う.シリル化剤は,これらの官能基の活性水素と反応して誘導体化する.
  • 155/8:水素をバブリングするする時は,栓をとらないと内圧が高くなってしまうのではないのか.■内圧が高くなるので,「液面には届かないような短い注射針をさして行う」という記述が省略されている.
  • 155/図1.31: L-リシンの2つのアミノ基のうち,どちらに重窒素が含まれているのか. ■実際の実験ではα位が重窒素のものをつかっている(それしか市販品がない)が,ここの説明ではどちらでもかまわない.
  • 155/8: 「水素をバブリング」は「水素でバブリングでは」. ■どちらが正しいかは微妙なところ.問題をさけるには,「水素バブリングしてから」とするのが妥当.
  • 155/14:エチルエーテルは何ですか.■(質問の意味が不明)「エチルエーテル」を尋ねるのであれば,なぜ「アセトニトリル」な訊かないのか.
  • 155/14:なぜ「ジエチルエーテル」と呼ばれないのか.■自主ゼミでは「CH3OC2H5がエチルメチルエーテルとよばれる,両端は同じの場合はジが省略でもいいと思う」で決着したようだが,こんないいかげんな解決では意味がない.物質の名称はIUPAC(国際純正応用化学連合)で決まっていて,それにもとづいている.逆に質問すれば,「CH3OCH2CH3の構造をもつ化合物は,『エチルメチルエーテル』なのか『メチルエチルエーテル』なのか,それともどちらでもいいのか.また,英語表記のときはどうか」である.その答えを知るためには,物質の名称に関して調べる必要がある.ちなみに,有機化学のさいしょは「命名法」である.なお,483ページに,畑一夫「有機化学の基礎別巻1有機化合物の命名─解説と演習─補訂版」媒風館(1973)が紹介されている.
  • 156-165: HPLCという略語が「高速液体クロマトグラフィー」と「高速液体クロマトグラフ」という二つの言葉の意味で使われているが,これは正しいのか.■厳密には正しくない.最初にHPLCを「...グラフィー」としているから,装置をHPLCとするのはまちがい.158/13のHPLCは「送液ポンプ」,158/19と160/4のHPLCは「装置」が適切.
  • 159/4: 「7725(図1-31)以外のものにお目にかかったことがない」とあるが,図1-31をみると7125となっている.■指摘のとおり.よく使われているのは「7125」と「7725」の2種類.「7125(図1-31)と7725以外のものにお目にかかったことがない」 が正しい.
  • 159/脚注338: (産業技術総合研究所・山田裕介氏の指摘)シリンジを差し込んでから「Load」にするのは汚染を防ぐためではないのか.■指摘のとおり.著者は気づいていなかったが,サンプリングバルブの切替時には,ドレイン(排出)側(それまでの打ち込みサンプルなどによって汚染されている)から,インジェクションポートを大気開放のままで切り替えると,インジェクションポートやサンプリングループに逆流が起きる可能性がある.インジェクションポートにシリンジを差し込むことによって,インジェクションポート側を密封することによって,この汚染を防ぐのを目的として,『バルブ切替時にはシリンジを差したままにする』のがよい,ということになる.
  • 160/10: フェラルとはなにか.■変形することによって気密をたもつもの.パッキング.
  • 168/TOCに単位はあるのか.■通常は「g/L」だが,さいしょの値からの相対的変化(%)をしめすことが多い
  • 171/図1-33:接触角を求める数式について.■この関係式は,「接弦定理=円の任意の弦と円の交点における接線がその弦となす角は,その弦の円周角に等しい」と「円に内接する四角形の対角の和は180度である」の2つをつかうとえられる.
  • 171/7: 接触部分の円の直径a,と液滴の高さbから,2tan-1(b/a)でもとめられるとあるが,この式ではθより小さい角度になってしまう・aを円の直径とするのではなくて半径にすればθはもとめることができるのではないか.■指摘のとおり.7行目の「...円の直径aと...」を「...円の直径2aと...」,図1-33の「a」を「2a」とするのがよい.

  • 174/6: 作用スペクトルが光触媒の吸収スペクトルと一致すれば,それが光触媒反応であることがわかるか.■作用スペクトルは照射光波長に対して「みかけの量子収率」をプロットしたものである.みかけの量子収率は,光の吸収効率と光子利用率(真の量子収率)の積であるので,光子利用率が波長によらず一定であれば,作用スペクトルと吸収スペクトルはおなじかたちになる(たて軸が異なるので「一致」はしない).
  • 174/脚注388: おなじ比表面積でそろえたとしても,吸着力による差がでるのではないか.■そのとおりだが,そんな理想的な材料をさがす手間と時間を考えれば,比表面積だけでもそろえた方が現実的.
  • 180/10: なぜ「暗反応がある場合には,照射前より照射後に生成物が変化することが多い」のか.■著者の経験では,光照射によって生じる生成物が暗反応のより変化することが多いため.
  • 180/16: 「3つにパターンに大別できる」→「3つのパターンに大別できる」ではないか? ■指摘のとおり
  • 183/19: 「めのこ」という言葉を初めて見て勉強になりました.■広辞苑第5版によると漢字でかくと「目の子」で,『そろばんなどを用いず,目で見て計算すること』とある.「計算」にはちょっとひっかかりを感じるが...
  • 183/下から1:べつの解析とはどのようなことか.■初速度をとる必要があるのは,濃度(圧力)が大きく変化することによって速度が変化しない領域で測定するということであり,濃度はあまりかわらないのに速度が大きく変化する,というときにはべつの要因で速度が変化している,ということ.したがって,初速度をもとめても意味はないから,べつの速度解析をする.「べつ」とは初速度の解析ではない,べつのもの,という意味.
  • 185/図1-38: 縦軸の単位にm(ミリ)とd(デシ)が混在しているがこれは適切なのか.■指摘のとおり,IUPACでは認めていない.『mmol L^-1』の方がまだましか.
  • 186/式1.49: 左辺,右辺どちらかに「−」が必要. ■指摘のとおり
  • 190/脚注413: 「反応速度を50°」とあるが「反応温度を50℃」ではないのか.■前半は指摘のとおり『反応温度』.後半は温度差なので『50°』が正しい.なお,絶対温度の「K(ケルビン)」は温度そのものでも,温度差でもつかってよい.
  • 191/表1-3: ここに記されたすべての反応物は二酸化炭素まで分解されるのか.■質問の意図が不明.実験的にもとめられる活性化エネルギーとは,反応座標におけるもっとも活性化エネルギーが大きいステップのものであり,ぜんたいの反応がどんな量論式であるか,などとはまったく関係がない(活性化エネルギーは速度論で,量論式は平衡論).
  • 195/3: 「また,反応基質の濃度が増加しても,反応速度は濃度に比例せず,飽和することがわかる」は1.63式の分母が基質濃度が増加に伴い,kred[A] + kd → Kred[A]と考えられるので,基質Aの減少速度=I になるから飽和するという意味か.■そのとおり
  • 202/下から7: 「凝集現象」は「凝縮現象」ではないか.■指摘のとおり.飽和蒸気から液化する現象の意味で,「凝縮」が正しい 
  • 197/式1.70: 右辺積分範囲が0〜1となっているが0〜tでないと(1.71)中の 「t」は出てこないのではないか? ■指摘のとおり
  • 183/18: 「...計時変化...」は「...経時変化...」では[(読者)].■指摘のとおり
  • 199/7: 「両者の物質量が変化しないかぎり」とあるが,両者ではなくどちらか一方ではないのか?■どちらかが変化しても,両方が変化しても吸着量の絶対値は変化するから,表現としては正しい.この表現は,「吸着媒と吸着質の物質量が一定なら」の逆である.
  • 199-202: ラングミュア式,ヘンリー式,フロインドリッヒ式,BET式の使い分けがよくわからない.■まずBET式は多重層吸着(物理吸着)が想定できる不活性気体分子の吸着.ヘンリー式はラングミュア式の一部と考えて,これだけを使うことはほとんどない.ラングミュア式は,化学吸着や,液相からの吸着(多重層吸着は無視できる)のほとんどに適用できる.フロインドリッヒ式は,ラングミュア式ではどうしても表現できないときに,実験式(empirical)として使われるが,機構を論じるのはむずかしい.
  • 200/式1.74: 右辺の分母にはcが必要なのでは?■指摘のとおり
  • 204/14: 「著書は考えている」の「著書」は「著者では?■指摘のとおり
  • 204-206: ラングミュア−ヒンシェルウッド機構はどんな時に使え,どんな時に使えないのかがよくわからない.■ほんらいの意味では使える場合はほとんどない.とくに光触媒反応では,その作用原理から考えて,ラングミュア−ヒンシェルウッド機構はありえない.くわしくは,脚注461の解説を参照されたい
  • 207/1: 「入れ子」という言葉をはじめて見て勉強になった.■英語では「nesting」.例としては, ロシアのマトリョーシカという「入れ子人形」がある.数学やコンピュータ関連では,かっこが何重にもかかっているときに「入れ子」とよぶ.
  • 208/下から4: 「光パラメトリック発振」「光パラメトリック増幅」とは何か.■...説明できるだけの知識と能力がない...2種類の振動数の光を集中すると,和周波という両方の振動数を足し合わせた光が生じるが,それの逆の現象だ...というあいまいな説明が多い.
  • 210/下から12: 「エバネセント波」とは何か.■Wikipediaによれば「屈折率の高い媒質から低い媒質に電磁波が入射する場合,入射角をある臨界角以上にすると電磁波は全反射するが,その際には波数の(境界面に対する)垂直成分が虚数になっている為に1波長程度まで低媒質側の内部に電磁波が浸透することになる」.反射というのが現実的にどこで起こるのか,が媒体の境界面からおよそ1波長分だけ奥にある,つまり境界面から光がしみ出すこと.
  • 214/1:  「『入門光触媒』にくわしいので...」の「に」は「が」にすべきではないか.■「〜にくわしい」という表現もあるが...「『入門光触媒』にくわしく書かれているので...」が適切.

  • 216/3: 「光等量則」は「光当量則」か[(読者)].■指摘のとおり.ちなみに5行目も「当量関係」の方が正確だが,『当量』という用語そのものが使われれなくなっており,「等量関係」でも意味は通じる.ついでにいうと,「量」は英語では「amount」とすることが多いが,これは質量や体積に関するもので,物質量(モル)の意味でつかうと誤解を受けることがある.
  • 216/下から4: 「可視線」とあるが「可視光線」のまちがいか.■...気がつきましたね.なぜか,「可視」だけが「線」とは言わない.これを「可視光線」とするなら,「紫外光線」「赤外光線」にしないといけない.これを「可視光」にすると...ということで,ふつうは使わない「可視線」というのをつかってみた.
  • 219/12: アボガドロ数とアボガドロ定数のちがいはなにか.■アボガドロ数は,1モルの物質に含まれる原子,分子あるいはイオンの数で単位はない(「個」は単位ではない).アボガドロ定数は,1モルあたり(毎モル)の原子,分子あるいはイオンの数で,単位は「mol-1」.じつは,このちがいは高等学校の「化学I」の教科書にちゃんと書いてある.
  • 220/7: 「1 W cm-2の強度は、約 3.3 μmol s-1 cm-2に相当する」はほんとうか.■ほんとうです.じぶんでチェックする習慣をつけましょう.1.88式にある400 nmの1個の光子のエネルギーは約5×10^-19 Jなので,アボガドロ数個なら,約30×10^4=0.3×10^6 J.これで1 W cm^-2をわると,3.3μという数字は暗算でもできます.
  • 221/脚注505: クーロンは[J V-1 mol-1]と等価なのか.■C=A s=(W/V)s=[(J s)/V]s=J V^-1だから...この脚注はまちがってます.ただしくは,「...単位のクーロン(C)は[J V^-1]なので,...」となる.
  • 222/4: 光の波長とエネルギーの関係式の導き方がわからない.■脚注508のかっこ内の各項は,nmからmの換算/プランク定数(J s)/光速(m s-1)/電気素量(C)になっているから,ここから想像できる.
  • 226/18:「電流2倍剤が正孔によって酸化されて生じた中間体(ラジカル)が,伝導帯に電子を注入して2電子酸化生成物をあたえる」とあるが,どのような反応機構なのか.■中性の分子が正孔により酸化されると,カチオンラジカルになる.これの電子準位はもとの分子とそれほど変わらないと想像できるが,さらにプロトンがはずれて(中性の)ラジカル(元来,ラジカルは中性である)になると,エネルギーがシフトし,電子が伝導帯に注入されるようになる,というのが電流2倍効果.図1-45では電子の励起が起こっているように誤解される可能性があるので,グレーの上向き矢印は不適切.本文にも「電流2倍剤が正孔による酸化とプロトン脱離でラジカルになる」を明記した方がいい.なお,ラジカルになると電子のエネルギーがカソーディックにシフトすることや,電流2倍剤のもとの電子レベルが伝導帯下端よりアノード側であることは単なる推測で,実験的根拠がしめされているわけではない.
  • 232/14: 「電子冷却裏面照射型CCD」とは何か.■電子冷却(おそらくペルチェ素子)装置がついていて表ではなく裏面から照射するタイプのCCDのこと.つまり,著者は「知りません」.
  • 234/8: 硫酸鉄として約60%だと、何水和物になるか(xの値はいくつか).■計算すればよい.およそ15水和物.
  • 222/脚注508: 数値がまちがっているのでは[(読者)].■指摘のとおり.岩波理化学辞典第5版(1998)の定数表の数値を用いると,「1239.84247 = 10^9×6.6260755×10^-34×2.99792458×10^8/1.60217733×10^-19」(^はべき乗をあらわす)となる.
  • 223/式1.93: 分母で「of」が重複している[(読者)].■指摘のとおり.
  • 226/3: 「…量子収率の値が2種類出てくる.」とあるが,2種類って何と何?(銀の析出と酸素発生量からそれぞれ量子収率が出るという意味か).■指摘のとおり.おなじ反応なのにことなる値の2つの量子収率が算出される.
  • 226/4: 「」の文の意味が分らない(「光触媒反応では,『反応した分子』ではなく,反応に使われた電子,正孔で考えよう」という意味か).■指摘のとおり.電子─正孔の利用効率を考えようということ.
  • 227/23: 内部量子効率はどのように測定するのか.■発光素子のことは専門外なのでわからないが,素子に発光とおなじ波長の光をあって透過スペクトルを測定し,これをもとに発光量を補正している可能性が高い.
  • 236/7: 縦軸が量子収率ではいけないのか.光吸収がある領域であれば量子収率を使ってもよいのか.■縦軸が量子収率なら作用スペクトルと呼ぶことはできない.「量子収率の波長依存性」である.

  • 241/3: 「単結晶をつかうことはまれである」とあるが、使えない理由があるのか.■まず,「単結晶」が何と定義されるのか考える必要がある.その単結晶が得られにくいために「つかうことがまれ」であるかも知れない.かならずしも「使えない理由がある」とは限らない.
  • 242/図2-1: この図はどういう見方をすればいいか.■対応する本文がない.この図がしめしているのは,バルクとはちがう性質(特性・構造)をもつのが表面であるとし,実際の測定がその性質のちがいにもとづいた測定なら,バルクとはちがう性質をもった部分が「表面」ということになる,ということ.
  • 243/脚注7: 「平均自由工程」は「平均自由行程」では?■指摘のとおり

  • 247/式2.6: 吸着式がなぜこんな式になるのか.窒素の吸着量からどうやって表面積が求まるのかがわからない.■BET式の基本は,表面の1層目にラングミュア式にしたがって吸着が起こり,そのうえに2〜n層の吸着が起こると考える.第1層は比較的つよい相互作用,2層目以降は窒素分子間のよわい相互作用であり,後者は窒素の凝集とおなじ意味をもつ.BET式の誘導は,第2章文献30などを参照してじぶんでたしかめればよい.式中のvm(mは下付)が第1層の飽和吸着量でありvmについての記述がぬけている)vxのデータからこれをもとめ,窒素分子1個の吸着断面積を乗じて表面積がえられる.
  • 247-250: BETのc定数が負になるのはありえないと思うが,実際に測定するとまれに負になるのはなぜか.■式2.7から考えて切片が負になるためと考えられる.負になるときに,実際のプロットがどのようになっているかで対応は異なる.直線性がわるい場合には,BET式が成立していないことになる.いずれにせよ,どのような場合でも,測定の生データとプロットをじぶんで確かめてみることが大切.
  • 248/23: 「相対圧がこの範囲に入るように5〜6点ほど測定し・・・」の相対圧はどう変える?飽和蒸気圧も平衡時の圧力も常に一定なように感じる.■系内の窒素量を変化させて平衡になるまで待ち,さらに窒素を導入して別の相対圧xで測定するのがふつう.飽和蒸気圧はいつでもほぼ760 mmHgなので,平衡圧が変わるように窒素の導入量を変化させればよい.
  • 249/式2.9: E1,ELはどう求める?■式の下の本文にあるとおり.ELが上記のように窒素液体の凝集熱とひとしいと仮定すれば,c の値からE1をもとめることが可能である,という程度のはなしである.
  • 250-258: 吸着測定装置の基本構成をしめす図2-4と説明につかう式2.10〜15が離れていて理解がむずかしい.■この例に限らず,理解がむずかしいと思えば,必要に応じてじぶんで図のメモをつくるなどの工夫が必要です(本を読むときにかぎらず,実験でもなんでも,じぶんで工夫して解決しようとする姿勢がだいじ).本の場合,おなじ図を複数回掲載することは通常は行わないので,重要であると判断すれば,差込みの「しおり」などで対応することも考えられる.
  • 250/下から5: 閉じ括弧は不要では.■そのとおり.
  • 251/8: 「多孔質材料などで水分が多い場合・・・測定値に影響を与える.」では,どう処理すればいいのか?■「処理法によって測定値がことなる値となる」ことを忘れないで実験結果を議論する.どう処理すればよいのかという明確な指針があれば,それが記述されているはず(ということくらい読みとれなければ本を読む(あるいはひとの話をきく)ことはむずかしい).
  • 255/12: 「精秤」はどう読むのか.■『せいひょう』.ちなみに「秤量」は『ひょうりょう』.化学系の学生実験では分析実験で「秤量ビン」をつかうので読み方はわかるが,それ以外では『ひょう』と読む場面はでてこないかも知れない.
  • 255/21: 「加熱温度と排気時間ともに標準的な条件はない.」では,どのような温度,時間を推奨する?■ここと,それ以下の表現のとおり.加熱温度が高ければ,測定結果そのものの真の値との誤差は小さくなるが,水分量以外の測定試料そのものの構造変化がおこりうる.低温なら逆.したがって,こういう状況であることを忘れないで結果を議論する以外に方法はない.どのような温度と時間が推奨されるかは,それぞれの試料とその履歴による.じぶんで見つける以外に方法はない.
  • 259/式2.17・2.18: 1個の占有容積はどの部分?■「占有容積」は「占有面積」の誤り.
  • 259/1: 「1個の占有容積を・・・(2.17)を使ってものである」は(2.17)で1個の占有容積を求めているように受けとれる.■「占有容積」は「占有面積」の誤り.
  • 259/式2.17: 式のさいしょの「1.091」はどうやってでてくるのか.■式2.17と式2.18を比較すると,28.01がmに,0.808がρに,6.022×10^23がNAに対応しているので,のこりの2√3×(1/4√2)^(2/3)を計算すると1.091になる...ということを,文献30では何も解説していない(式2.18や図2-7のような説明がない)ので,「1.091」が何を意味しているかを解明するのに丸一日つかった.
  • 261/脚注34: 「簡単さと価格は反比例し・・・」は「簡単になればなるほど価格は低い」ということか.■逆である.使用するのに手間がいらないようにする(この場合は,2種類のガスをボンベからとりだして一定のわりあいでまぜるのはたいへんだが,はじめから濃度のきまったガスのボンベをつかえば,操作は簡単)ためには,その分の対価を払わなくてはならないことを意味する.時間を購入しているともいえる.ここで,「簡単さ」を数値化したときに少ないほど簡単という感覚(よく考えればそれは「複雑さ」)で書いたため,「反比例」ということになったが,誤解をまねく可能性がある.「通常,操作が簡単で便利なものは高いことが多い」が適切.
  • 266/12: 「ブラッグ条件を満足する角度はおおよそ倍数関係となる」とは,何と何が倍数関係なのか.「おおよそ」とは誤差範囲はどれぐらいか.■ある面間隔d を想定し,n の値を2,3...と増やしたときに,回折角(2θ)がn が1のときの倍数に近い数字になる. じっさいに計算すればどのくらいはわかる.
  • 269:消滅則について,半波長だけ位相がずれていることを式として表わせるか.■式は考えたことがない.(100)で回折が起こる角度において,となりあう(100)面どうしでは1波長分位相がずれているので,その中間にある(200)では半波長ずれている.この説明で不足なら,式を考えても意味はない.
  • 269/16: 11行目に「d=0.19616 nm」とあり,「d/2(=0.196 nm)」の値と有効数字がことなる.■指摘のとおり.ここでは,「d/2(=0.19616nm)」が正しい.
  • 269/16: 11行目の「d=0.19616nm」と16行目の「d/2=0.196nm」でdの区別が分かりにくい.■前者は(200)の面間隔,後者は(100)の面間隔.「かわりに(100)の面間隔の半分(d /2=0.19616 nm)に相当する...」という意味.
  • 269/下から8: 「(200)面の回折が強く表れる」のはなぜか.■単位体積あたりに回折面がたくさんあるから.
  • 269/下から2: 「(222)面は(111)面にふくまれる」とは,(222)面に原子がないので「ふくまれる」という表現を用いているのか.■指摘のとおり,「(222)面には原子がないので(111)面での回折は影響をうけない」とするのが正しい.
  • 273/11: 「入射X線の95%」とは入射X線の波長の95%という意味か.■強度の95%という意味.それ以外の解釈をされることは想定外.
  • 274/脚注52: 「面一」は科学用語としてあつかってもいいか.■わからない.使ってみて通じなければ説明すればよい.
  • 275/下から5: 「θ−2θ測定」とは何か.■272ページの「ゴニオメータ」の項にあるように,試料に対してX線の入射角θを変化させながら,検出器も同時に変化(X線源と試料を結ぶ線に対して2θ)させる測定法のこと.
  • 280/1: 「内部標準法」という語句は274ページの8行目にもあるので,その語句から先に脚注が付くべき.■274ページでは「内部標準法」そのものの説明がないので,そこに脚注がつくのは不適切.274ページにおいて,「内部標準法(後述)」.
  • 280/下から6: 「魅力的な方法」とは簡便という意味で魅力的なのか.■標準試料として,その純度からもっとも適切であるため.
  • 281/下から11: 「後述する」とは何ページなのかが記載されているとわかりやすい.■1か所だけではないため記載していない.索引はそのためにあるので利用されたい.
  • 281/下から4:水酸化チタンはなぜピークがでないのか.■アモルファスだから.水酸化チタンの結晶をえるために加熱すると脱水して酸化チタンに変化するため,水酸化チタンの結晶はえられない.
  • 283/下から7: 「アナタース結晶でも粒径が小さい場合には回折強度が相対的に小さくなる」のはなぜか.■理由は不明
  • 285/16: 「2波長分の位相がずれがある.」は「2波長分の位相の(に)ずれがある.」の方がいいのでは?■指摘のとおり.「2波長分の位相のずれがある.」が適切な表現.
  • 285/17:  「1番目の面と1.5λずれた面が存在する.」は「0番目の面と1.5λずれた面が存在する.」ではないのか?■指摘のとおり.「1番目」は「0番目」のあやまり.また,その後の記述があやまり.ただしくは,「0番目の面と1.5λずれた面が存在する.これをm/2番目の面とすると,0とm/2,1と(m/2+1),2と(m/2+2)...(m/2-1)とm番目の面でそれぞれ半波長ずつずれているため,散乱X線は完全に打ち消しあうことになり,」「結局,...」が正しい.
  • 285/下から8: 「位相が−ΔλとΔλずつずれているので,この2つの面からの散乱X線は完全に打ち消しあうことになる」とあるが「Δλ」ではなく「半波長」の間違いではないか.■上記(285/17)のように記述があやまり.0番目とm/2番目の面が打ち消し合い,それぞれの1つ下の面どうしで打ち消し合うので,結局ぜんぶ打ち消し合うことになる.
  • 287/式2.34: 「nλcosε+sinε2dcosθ...」とあるが,「nλcosε+(sinε)2dcosθ...」の方がみやすいのではないか.■指摘のとおり.
  • 289/下から3: スピン−軌道相互作用(スピン-軌道結合)とはなにか.■電子の軌道はs軌道のように方向性がない(等方的)場合には,電子が原子核のまわりを運動することによる磁場の発生はないが,p軌道やd軌道のように空間的な異方性をもつ場合(磁気量子数をもつ場合)には,電子の軌道内の運動による磁場が発生する.たとえば,原子核のまわりを電子が円運動すると(実際にはそんな運動ではないが...),円の中心から垂直方向の磁場が生じる.いっぽう,電子そのものもスピンをもつので,ちいさな磁石とみなせる.したがって,軌道運動による磁場と,電子スピンの磁場の方向が一致すれば安定でエネルギーは小さく,逆方向だと不安定でエネルギーが大きくなる.これが,「スピン−軌道相互作用」.軌道のエネルギーは,磁気量子数がちがっていてもそのエネルギーはひとしい,つまり縮退しているが,実際に電子が収容されると,スピン−軌道相互作用によって分裂,すなわち縮退がとける.といってもその分裂幅はエネルギーの絶対値に比較すると小さい...というのがかなり簡単な説明.くわしくは専門書を参照されたい(そんなわかりやすい解説にはお目にかかったことはないが).
  • 289/下から2: 「2p3/2と2p3/2に分裂しており…2p2/3(LIII)から落ち込めばKα1線が,2p3/2(LII)からなら…」と記述されているが2pの後ろがばらばら.■指摘のとおり.下から3行目からの記述は,「(L殻の)2p軌道のエネルギーはスピン─軌道相互作用(スピン─軌道結合)によって2p 1/2と2p 3/2に分裂しており,Cu Kαの場合,エネルギーの高い2p 3/2(LIII)から落ち込めばKα1線が,2p 1/2(LII)からならKα2線が発生する(αの後の数字は強度の順).」が正しい.ちなみにLIは2s 1/2だが,束縛が強いためか,これがK殻に落ち込むことはない(少ない).
  • 296/7: 「光強度のわり算」とは何ですか? 「の」の解釈が分かりません.■試料側の光強度を参照側の光強度で割り算する(比をとる)ということ.ただし,アナログ値の計算なので単純ではない.
  • 302/2: 「厚さI の試料を通過」は「厚さl [小文字のエル]の試料を通過」ではないか.■指摘のとおり.式2.54の指数のいちばんうしろのl [小文字のエル]に対応する.
  • 302/4: 「光吸収物質の濃度」はどのようにあらわされるのか.■「物質量/体積」であらわされる.
  • 305/下から3: 「熱拡散長が光透過深さより小さいときにだけ,光音響信号は光学的特性に比例したものとある」とあるが,測定しているのは熱なので,逆(大きいときにだけ)ではないのか.■ここの記述は不透明な試料についてのもので,熱拡散長の方が大きい場合には,試料の吸収係数に関係なく,入射した光はすべて吸収されて,それが光音響信号に反映するため,入射光の強度によってのみきまる.つまり,吸収が大きいか小さいかとは関係なくなる.逆に,熱拡散長が光透過深さより小さいときには,光音響信号になる熱過程は,光吸収の大小によって変化する.したがって,原文のままでよい.
  • 305/図2-26: 実線が約270 nm以下で急激に下がっているのは光源の問題なのか.■そのとおり.キセノンランプを分光しており,300 nm以下の波長では光量が低下する.
  • 306/12: 「走査型電子顕微鏡(SEM)の原理と特徴」のところで,一次電子を入れると,なぜ二次電子が出てくるのか?■加速した電子がもつ運動エネルギーが内殻電子の束縛エネルギー(原子核からの引力)より大きければ,二次電子が放出される.
  • 307/1: 「凸部が多く凹部がすくない」のは検出器からの距離の違いによるものですか?■距離のちがいではありませんが...凸部で2次電子発生が多い理由はきちんと説明できるほど理解していない(入射した電子と物質の相互作用のちがいとされている).
  • 307/1: 「えられる像は〜像がえられる」の部分に違和感を覚えます.■文頭の「えられる像は」は削除した方がよい.
  • 307/脚注129: 「検出器の引き込み(加速)電圧」とあるが引き込み電圧と加速電圧は別のものではないのか.■たしかに電子銃の加速電圧とはちがうが,二次電子を引き込むには電場をかけて加速することによって検出器内にとりこんでいる.
  • 312/図2-28の説明文 「内壁の大きさのところ」とはどこですか?「壁厚の分だけ小さく見える」とはどういうことですか?最後に「 )」がありません. ■壁の内側のところで,電子線が通過する距離がもっとも長くなるので,像が黒くなる,つまり,内径に相当する円が見える,ということ.文末に「)」が必要.
  • 314/11: 「方向(ひろい面に垂直)な結晶面」とあるが『な』は『の』の方が適切ではないのか.■指摘のとおり
  • 319/6: 粒子の屈折率が関係がないのはなぜか.■知りません.おそらく,レーザ回折では粒子からの回折を見ているのに対し,粒子からの散乱光が別の粒子によって散乱される現象をみており,本質的に測定しているものがちがうからだと思われる.
  • 320/脚注170: 引用文献の巻数は『28』ではないのか.■指摘のとおり.ただしくは,「 P. P. Lottici, D. Bersani, M. Braghini, A. Montenero, J.Mater.Sci., 28, 177-183 (1993). 」

  • 324/16: 「メニスカス」という呼び名があることを初めて知った.■中学,高校で習うものかと思っていましたが...メニスカスはギリシャ語で新月の意味とか.
  • 322/2: 「固体の無機物では...」→気液の無機物は元素組成はわかるのですか.■無機分子(多くは気体・液体)なら有機化合物と同様に化学組成をもとめることができる.ポイントは,基本になる分子のような単位があれば組成はわかりやすい,ということ.
  • 335/脚注203: ヘリウムだと感度が低下するのはなぜか.■知りません.おそらく,ヘリウムの熱伝導率が大きいことが原因と思われる.
  • 325/下から3: 「ホロワカソードランプ」とは何か.■陰極(カソード)が中空になっている放電型のランプで,内部に封入した元素からの発光にもとづく光放射がある.このため,原子吸光分析装置で,対象となる元素のホロワカソードランプをつかい,その波長での定量を行うと,感度よく分析することが可能である.
  • 325/脚注183: この脚注はP.325 l.14の『原子吸光測定装置』の部分につけるべきではないか?■指摘のとおり.このタイトルの「原子吸光法」のところに注をつけ,「spectrophotometer」を「sepctrophotometry」にしてもよい.
  • 327/17:  「治具」って何ですか?→広辞苑によると,『工作物を固定して切削工具を工作物に正しく当て,正確・迅速に加工するために用いる道具』とありました.この意味だと,図2-32で示された道具は,治具とは呼べないのでは?■「広辞苑」が厳密な意味をしめしているとするなら指摘のとおり.ただし,インターネットで「治具とは」で検索すれば,広辞苑にある定義より広い意味で使用されているのがわかる.逆に,この道具を治具とよばないなら,何とよべばいいのかを考える必要がある.著者の知るかぎりにおいて「治具」以上にこの道具の分類をしめす適切なことばはない.
  • 329/9: 「ポリエチレンの表面は...酸化劣化して濡れるようになる」の反応機構を知りたい.■高分子化合物(ポリマー)の炭素鎖(メチレン=-CH2-)や側鎖(メチル=-CH3)が酸化されて,水酸基(-OH)やカルボキシル基(-COOH)ができる(いずれも酸化)ことにより親水性になる.
  • 329/下から8: 「遠心管などの入った銀担持酸化チタン...」は「遠心管などに入った銀担持酸化チタン」か.■指摘のとおり
  • 330/8: 「選択的溶解による酸化チタン結晶含量の定量」においてフッ酸を使って酸化チタンを処理した際,ルチルだけ溶け残る理由は何か.■固体の溶解速度がことなるためである.つまり溶解という平衡が結晶によってことなるのではなく,速度がちがうことが原因.それでは,なぜ固体の種類によって溶解速度がことなるのか,ということについては,はっきりとしたことはわかっていない.ルチルが溶けのこるひとつの可能性は,アナタース結晶表面において溶解の引き金になるであろうステップが多いことである.経験的には,おなじ粒径でも電子顕微鏡観察による表面の粗さはアナタースの方が大きい.
  • 335/下から8: 「セルは密閉するので→通常は窒素だけと考えたほうがよい→酸化反応のような化学変化による熱の出入りを測定することはできない」という論理展開は,「セルは密閉するので→酸化反応のような化学変化による熱の出入りを測定することはできない→通常は窒素だけと考えたほうがよい」のほうが正しいのではないか.■該当部分は,「実際にはセルは密閉することにくわえて,感度の関係でDTAの場合のような自由な気体成分の選択ができず,通常は窒素を用いるため,酸化反応のような化学変化による熱の出入りを測定することはできない.また,気体流量が...」が適切.
  • 336《X線光電子分光法》: どうやって運動エネルギーを検出しているのか.■放出された電子は直進するが,電子は電荷をもっているので電場のなかに入れると曲がる.その曲がり方によって運動エネルギーをもとめる(はず).
  • 337/6: 酸化物中の方が平均自由行程が大きいのはなぜか.■よくわからないが,平均自由行程が原子核による電子の束縛と関係しているとすると,仕事関数と関係があることになる.金属酸化物の仕事関数はフェルミ準位によってかわるが,n型半導体なら金属より仕事関数は小さく,束縛が弱いといえるのかも知れない.
  • 337/脚注207: カッコ「」が抜けている.■指摘のとおり
  • 339/脚注213: 炭化水素のピークが見えないのはなぜか.■強制的につけた有機物によって,もともと不純物として付着している「炭化水素」が覆われるため.強制的につけた有機物ではない部分を「炭化水素」としている.
  • 341/図2-36: 脱出深さdの方向をそろえるよりも,試料の向きを水平にして比較するほうがわかりやすいと思う. ■実際には試料の角度を変化させるため,原図の方が誤解を生じない.4行目を「試料を回転させて,この角度を小さくすると,...」とした方がよい.
  • 342/下から11: 「結晶欠陥」と「格子欠陥」は同一か.■区別せずに使っている.念のため,理化学辞典をみると,「格子欠陥」はあるが「結晶欠陥」の項目はなかった.ウェブ上検索では,おなじ記事のなかに両方が含まれているところも多いので,ほとんど区別せず使われているようである.「格子欠陥(結晶格子の構造上の乱れ)」に統一した方がいいかも知れない.なお,格子欠陥という場合には,「構造上の乱れ」であって,何かが足りないかどうかはわからない.いっぽう,「酸素欠陥」というと,酸素がない,ということである.
  • 343/式2.63: いちばん右の図で,Ti間に点線が引いてあるが,これはTi−Ti結合なのか.また図の真ん中で電子が2つ残されているが,この電子はチタンイオン3つで共有されるという解釈でいいのか.図だと2つの電子が2つのチタンイオンに局在しているようにみえる.■点線は結合をTi間の結合ではなく,プロトンがチタンについていることをあらわす.図ではわかりにくいが,2つの電子が3つのチタンに共有されると明記している(図だけですべてを説明できるわけではない).
  • 346/下から11: 酸素を放出をするわけではなくて,酸素原子が最初から存在しないという意味ではないか.■ここでは,「酸素がはずれやすいところがあって,そこに電子がやってくると,酸素がはずれて電子が蓄積される」と意味で書いたのだが,そもそもどんなサイトなのかはわからない.はじめから酸素がないのかもしれない.いずれにしても酸素がのこっていて,かつ電子が蓄積するという状況は考えにくい,ということ.
  • 346/下から1: 「第3章Section 2」とあるが「第3章Section 3」のまちがいではないか.■指摘のとおり

  • 348/2: 「上記にように」は「上記のように」か.■指摘のとおり
  • 348/18: 「固体表面の酸塩基としての性質は『平均化』されると考えられており...」において性質の何が平均化されるのか.中性になるということか.■表面の酸あるいは塩基点が水酸基ではない場合(ほとんどがルイス酸/塩基)に,そこに水分子が化学吸着すると,水酸基が生じる.この水酸基はもとの酸あるいは塩基の性質をあまり反映しないと考えられており,結果として,もとの酸あるいは塩基の強さにかかわらず酸あるいは塩基としての強さのちがいがなくなるので「平均化」とよばれる.
  • 348/下から6: 固体表面の酸塩基としての性質は水分子により平均化されるとはどういうことか.■水は,酸としても塩基としてもはたらくので,固体表面の酸点や塩基点が水と反応し,その結果として水酸基ができると,酸や塩基の強度は水酸基のみによって決まるので,もともとあった酸や塩基の強度が反映されないということ.
  • 349/下から5: 「化学物質の影響に大きな影響」は「化学物質に大きな影響」ではないか.■「化学物質の吸着に大きな影響をあたえる」のあやまり.
  • 350/1: 「カルボキシル基」は「カルボキシ基」ではないか.■指摘のとおり.カルボキシルはラジカル(・COOH)のこと.同様にヒドロキシルはラジカルで(・OH),水酸基はヒドロキシ基.

  • 353/4: 活性点の数はどのように数えるのか.■「数えることができる」というのは,数える方法が存在する,という意味ではなく,「1個,2個」というように個数を数えるという概念を利用できる,ということである.「個数あるいは物質量(mol)の単位で表わされる」の方が適切.
  • 356/脚注17: 希硫酸や硫酸ナトリウムはなぜ良いのか.■硫酸イオンやナトリウムイオンが,通常の電位の範囲内では酸化還元反応を起こさないから.
  • 356/脚注18: 作用極と参照極の間には電流が流れないと書かれているが,流れていないことはないんではないか.■作用極と参照極のあいだには電流は流れないと考える.また,使用する機器(ポテンショメータ)にもよるが,実際に検知されるほどの電流は流れない.
  • 357/1: 光照射しないときは対極の白金から電子が流れるからカソーディックに流れるとかんがえればよいのか.■n型半導体の場合には,カソーディックな電位領域ではカソード電流が流れるが,アノーディックな電位に分極しても電流はながれない.
  • 357/脚注23:  (440/脚注58)参照.ただしくは,「A. Fujishima, K. Honda, Nature, 238, 37-38 (1972) 」.
  • 357/下から3: 電流飽和とあるが,ここでの電流飽和は拡散律速ではないと解釈してよいのか.■光量を大きくしたときに,光量に比例して飽和電流値が増大すれば,光量律速(吸収された光によって生じる正孔がすべて消費される)となっており,拡散律速ではない.
  • 358: 「アノーディック」「カソーディック」とは何か.■226/脚注522と357/脚注20,脚注21にあるとおり.電流についてと電位についての両方に使用する.電流については,電極と電解質溶液のあいだで,どちらからどちらへ電子が流れるかを考える(電極から=カソーディック/電極へ=アノーディック).電位については,正側がアノーディック,負側がカソーディック.日本語では,これをそれぞれ「貴」,「卑」と言うが,わかりにくい.
  • 358/9: スラリー電極は何に使うのか.■質問の意味が目的を訊いているのだとすれば,スラリー電極をつかった論文を読めばわかる.通常は,粉末粒子の性質,特性を知るために使っているようである.
  • 358/脚注25: その電位はどこにするのか.■(質問の意味が不明)脚注の意味は「電流が飽和する電位」ということなら,たとえば,「飽和しない状態から飽和するようになった電位」をつかえばよいが,「電流が飽和しない電位」をどこにするのかを決めようがない,ということ.もし,このことを訊いているのであれば,「その電位はどこにするのか」という質問は不適切.
  • 359/図3-6: 多結晶電極では反応物質が中にまでしみわたるのか.なかの絶縁部分と不活性部分はあってもなくても反応に関与しないのでは.■多孔性の膜ならば電極内部にも電解液は侵入する.(質問の意味がよくわからないが)絶縁部分は光触媒反応は起こるが,それは電流としては検知できない.不活性部分は光による反応が起こらない.
  • 361/7: みかけの量子収率は反応速度に由来し,(3.1)式でみかけの量子収率と光触媒活性は等価である.それならば光触媒活性は反応速度といっていいのか.■反応速度を入射光束でわったものがみかけの量子収率なので,光触媒活性と反応速度は,同一光照射条件なら比例するが,「光触媒活性=反応速度」ではない.
  • 366/脚注44: 酸化チタンのバンドはエネルギーレベルがかさなるものなのか.■質問の意味が不明だが,バルクの固体結晶では縮退していて,サイズが小さくなると縮退がとけて離散的になる.
  • 368/脚注57: 『8電子過程…』とあるが理解できなかった.■式3.6において,還元されるのが酸素だけであるとすると,酸素分子1個を水にするのは4電子過程なので,式全体としては8電子過程と考えられる.ただし,ここでいう電子数は仮想的なものであり,実際に使われる励起電子(正孔)の数ではない.
  • 370/図3-10: 電位を考える場合は,なぜpH=0に設定するのか.pH=7ではいけないのか.■電位を考えるときはどのpHでもよい(ただし,電位そのものはpHによって変化するためその分を補正する必要がある.標準電極電位はpH=0ときまっている.理由は,電位の基準である標準水素電極電位(NHEまたはSHE)についての酸化還元種がプロトンを含むため,この濃度を「1」とするため.
  • 371/脚注66: ある波長における半分の値とは,どこのことを指しているのか.■基準となる波長(たとえば,酸化チタンのような光触媒なら,350 nm程度の十分に光吸収が大きく,反応速度も大きい波長)における光吸収やみかけの量子収率などの値が半分になる波長をもとめる.たとえば,350 nmにおけるみかけの量子収率が0.6だったとすると,長波長側ではしだいに低下する.量子収率がちょうど0.3になる波長のこと.

  • 382/13: 「この固体物質の基礎吸収」とあるが「この」は何を置き換えたものか.■前の文で定義したという意味.なくても話は通じる.
  • 383/脚注102: 「2面性」とあるが一般的には二重性ではないのか.■両用語の定義のしかたによる.また,なにをもって「一般的」というのかが不明.
  • 385/図3-12: ケイ素の価電子は3pなので線は3本のはずなのに図のXからΓの間はなぜ4本になっているのか.左側の電子の分布からどうやって右側の電子の分布になるのか.■...? ケイ素の価電子は3s^2+3p^2.「3pだから3本」という意味が不明.ケイ素原子をかんがえれば,炭素と同様にsp3混成軌道をつくり,4つのローブにそれぞれ1つずつ電子が収容されている.状態密度は,各エネルギーについて,横方向に積分したもの(ということになっている).
  • 389/下から1: 「バンドをkについて積分したのが,状態曲線である」 とあるが,積分の仕方がわからない.上記の説明もわからない.■著者も,上記のように「ということになっている」程度の理解である.
  • 386/脚注116: 文献の発行年がない(2000年).■指摘のとおり
  • 388/7: 「速度論支配」とあるが「速度論的支配」とした方が適切ではないか(前ページと統一).■指摘のとおり
  • 389-402: すべて「Crystal Lattice Structures」か.■指摘のとおり.ウェブページのHTMLにあるタイトルは指摘のとおりだが,さいしょのページの本文中のタイトルでは,『Lattice』と『Structures』のあいだにハイフンがある(文法的にはいらないように思える).389/14|397/脚注397|398/2|401/8: ハイフンをとり複数形に.389/脚注127|401/13|402/1: そのまま.
  • 389/13: 「Com-putational」のハイフンは要らないのではないか.■指摘のとおり
  • 390/図3-14: 図から酸素の配置をイメージするのがむずかしい.■本文を読んでもわからない,というなら問題.本文を読めば理解できるのであればよい.図だけでわかるようには書いていない.VICSで確認してみたらどうか.
  • 396/図3-19: 2r√6 /3 とあるが 2√6 r /3のほうがいいのではないか.■指摘のとおり
  • 399/図3-21の説明文: 「単位格子4個分であった144」とあるが脚注144を読んでもよく分からない.また,図3-20の説明文にも同様に「単位格子4個分であった」とあるのでこちらにも脚注をつけるべきで.■図3-21の説明文にある「脚注144」は「脚注146」のあやまり.図3-20の説明文にも「146」をつけるべき.
  • 404/図3-24: どの部分が3稜共有かわからない.■模型をつくってみるか,ソフトウェアをダウンロードして表示しないとわからない.
  • 407/6: イオン交換水などで洗浄をした場合,800℃焼成すればほぼルチル結晶となると思われるが,アナタース結晶がえられるというのはどういう理由か.■質問の意味は,「イオン交換水などで洗浄をした場合,800℃焼成すればほぼルチル結晶となる」という経験がある,あるいは報告があるということか.また,「イオン交換水など」とは何か.ここでのべようとしているのは,硫酸イオンを含まない製法では,600℃程度でルチル化するが,硫酸イオンを含む場合には洗浄してもとりきれず,そのためルチル化の温度が上昇するという意味.また,「ルチルがまったく生じない」とは言っていない.
  • 409/5: 「4(×10^-6 g m^-3)」とあるが+6乗ではないか.■指摘のとおり.

  • 433/脚注34: 「ギブズ自由エネルギー変化(ΔG)が負の自発的反応が対応...」は『が』が2つあってわかりにくい.■指摘のとおり.「ギブズ自由エネルギー変化(ΔG)が負である自発的反応が対応...」あるいは「負のギブズ自由エネルギーをもつ自発的反応が対応...」の方が正確.
  • 440/式4.8:  なぜ2分の1の形で書かれているのか.■式(4.7)が不適切で,電子の数が1になるように係数をそろえるのがよい.
  • 440/脚注56: 「pHが1だけ変化すると」は「pHが1だけ増加すると」ではないか(「変化」は減少も含まれるので).■指摘のとおり.
  • 440/脚注58: この文献の著者の順序があやまり.ただしくは,「A. Fujishima, K. Honda, Nature, 238, 37-38 (1972) 」.この指摘は藤嶋昭先生じしんからいただいた.きちんと,原文献にあたるのを怠っていた.なお,なぜ『藤嶋−本多効果』にならかったかというと,朝日新聞の取材をうけたとき,藤嶋先生が,記者にその順にするように依頼したからだそうである.
  • 441/脚注62:微粒子系とはどんなものか.また,「電気的にも,化学的にもバイアスのかけようがない」のはなぜか. ■電極ではなく,微粒子をそのままつかうもの.電極がないので電圧を印加することができないし,微粒子のいちぶだけが,ほかとはことなる組成にするのは困難であるため,電気的にも化学的にもバイアスをかけることができない.
  • 449: いちばんはじめに正孔でL-リシンを酸化させるためには励起電子を受け取る物質がなければいけないのに励起電子を受け取れるピペコリン酸の中間体がまだできていない.どうやって初めの反応は起こるのか.■電子と正孔の反応にはタイムラグがあると考える.それがどのくらいの時間なのかは反応系や光触媒によってことなる.白金を担持させた酸化チタンの反応では,まず正孔が反応し,その後酸化チタンから白金にうつった電子が反応すると考えられる.シッフ塩基の量が少ない場合には,電子は水素生成に使われるので選択率が低下する.実際には,選択率の最大値は90%程度.
  • 450/下から6: 「グリーンは『クリーン』より一歩踏み込んだ表現」というのは,きちんとした定義なのか.■一歩踏み込むのは著者の主観なので定義ではないし,この文が『グリーン』の定義をしようとしたものでないことは明らか(脚注90にそう書いてある).質問の意図が不明.「一歩踏み込む」についての解説をもとめているのか.
  • 452-453: 1-5節の内容に,「高活性光触媒の開発」というタイトルをつけている理由は.■すくなくとも執筆した時点で,その内容をあらわすのに適切であると思ったから.それ以外にタイトルのつけ方はない.内容に対してタイトルがそぐわないのではないか,という質問であればべつの回答が考えられる.もし,そのことを意図した質問なら,質問のしかたを再考した方がよい.

  • 468/脚注153: (440/脚注58)参照.ただしくは,「A. Fujishima, K. Honda, Nature, 238, 37-38 (1972) 」.
  • 474/下から8: 2乗の2が全角になっている.■一般に日本語の本では,1桁の数字は全角文字で,2桁以上は半角文字を使うことが多いようである.
  • 474/下から6 交流回路における抵抗,リアクタンタンス,インダクタンスなどの合成インピーダンスと,電気化学における等価回路の相関がよくわからない.■著者もよくわからない.
    474/下から6: モット・ショットキープロットとはどういうものか.■半導体が電解質溶液に接触したときに半導体内に生じる空間電荷層は一種のコンデンサなので,電極系のインピーダンス解析をすれば,空間電荷層との情報(フラットバンド電位や不純物密度)がわかるというもの.くわしくは,電気化学分野の解説書を参照のこと.たとえば(大谷研究室の蔵書では),日本化学会編「第5版実験化学講座25─触媒化学,電気化学」丸善,東京(2006)p. 331.
  • 474/14: ■「0.5乗あるいは2乗のプロットをつかって」は「吸光係数に相当する量に光子のエネルギー(hν)をかけたものの1/2乗あるいは2乗を光子のエネルギーに対してプロットし,直線を外挿したときのx切片から」のあやまり.
  • 474/下から8: 具体的にどのような式になるのか. ■具体的には,[吸光係数に相当する量(たとえば,クベルカ−ムンク関数(ほんとうはこれはちがうのではないかと思うが...頻繁に使われている)に光子のエネルギー(hν)をかけたものの1/2乗あるいは2乗]=(定数)×(光子のエネルギー−バンドギャップ)となる(上の説明参照).くわしくは(それほどくわしくはないが...),田中庸裕,山下弘巳編「固体表面キャラクタリゼーションの実際」講談社サインティフィク(2005)60-61ページ,などを参照のこと.
  • 477-478: 式(4.16),式(4.17)で得られたa,bを式(4.13),式(4.14)に代入しても成立しないのはなぜ.■式(4.17)の右辺第1項と第2項の間の負号が正号のあやまり(あるいは,右辺第2項の分子の2つの項をいれかえる)
  • 479: 「回帰式が1次式の場合だけである」とあるが2次や3次の場合は相関係数が1に近くなるとどうなるのか.■相関係数は,独立変数と従属変数の関係が「y = ax + b」の形にちかいかどうかをしめすだけで,2次以上の回帰式に対する適合性と相関係数は実質的には無関係.
  • 479/脚注: 「わかっていれば」とあるが「あるとするならば」とした方が適切ではないのか.■指摘のとおり.